東京五輪・パラ 都内の児童・生徒の観戦規模 今も決まらず

東京オリンピック・パラリンピックの開催都市 東京では、児童・生徒のうち、実際に競技を観戦するのがどれくらいの規模になるのか今も決まっていません。延期が決まる前はおよそ90万人が観戦する計画でしたが、都はその後、学校側の意向確認を行っておらず辞退する学校があるかないかも分かっていません。

東京都内では、希望する学校は、都が公費で子どもたちのチケットを確保して競技を観戦してもらう計画です。

大会が延期される前のおととし5月の調査では、希望する児童・生徒は小学校でおよそ49万人、中学校でおよそ26万人、高校でおよそ13万人、幼稚園やこども園はおよそ1万人、特別支援学校はおよそ8000人の合わせておよそ90万人に上っていました。

しかし、都は大会が延期され、新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、学校側に予定どおり参加するかどうか意向確認を行っていません。

理由について、そもそも観客を入れるかどうかが決まっていないためだと説明しています。

オリンピックの開幕まで40日を切っていますが、児童・生徒のうち実際に競技を観戦するのがどれくらいの規模になるのか、決まっていないうえ、辞退する学校があるかないかも分かっていません。

学校や保護者からは公共交通機関での移動や会場での感染リスクを懸念する声もあり、都は観客の扱いが決まり次第、意向の確認を急ぐとしています。

学校連携観戦チケットとは

東京オリンピック・パラリンピックの学校連携観戦チケットは、次世代を担う子どもたちに多く観戦してもらうため、自治体や学校が購入するチケットです。

都内をはじめ、競技会場のある自治体や東日本大震災の被災地を中心に全国の小中高校や特別支援学校などを対象に、大会組織委員会は当初、100万枚規模でチケットを販売する計画を立てていました。

おととしから募集を開始したところ、延期前の去年1月までにオリンピックで60万枚、パラリンピックで68万枚の購入希望が寄せられました。

大会の延期に伴って組織委員会は、ことし1月にキャンセルを受け付けたほか、今月1日からも再びキャンセルの受け付けを始めたところ、オリンピックでは1万枚がキャンセルされ、現時点で有効なチケットは59万枚となっています。

パラリンピックについては状況を公表していませんが、組織委員会はいずれの学校連携観戦チケットも今後、さらに減る可能性があるとしています。

神奈川・埼玉・千葉 少なくとも48自治体がキャンセル意向

東京オリンピック・パラリンピックで競技会場のある自治体などの児童・生徒たちに割り当てられている「学校連携観戦チケット」について、神奈川、埼玉、千葉の3県では、予定どおり観戦を行う自治体がある一方で、少なくとも48の自治体が観戦をキャンセルする意向を示していることが分かりました。

神奈川県

神奈川県では、市町村立の小中学校や県立の特別支援学校の児童や生徒を対象に、およそ8万8000枚のチケットを確保していましたが、県などによりますと、16日までに6つの市と町が観戦の中止を決めたということです。

観戦を中止したのは、平塚市、南足柄市、中井町、松田町、山北町、それに開成町で、チケット合わせて1900枚分です。

これらの自治体は中止の理由として、会場内や移動中に新型コロナウイルスに感染するリスクがあることや、現時点でも観客数の上限が決まっておらず手続きが進められないことなどを挙げています。

観戦中止決定の山北町では

神奈川県山北町では「学校連携観戦チケット」で町内の小中学生が、東京オリンピックでサッカーなどの競技を観戦する予定でしたが、町は、新型コロナウイルスの感染状況などを理由に中止することを決めました。

山北町では、「学校連携観戦チケット」で町内にある小学校と中学校の児童や生徒が来月下旬に横浜市で開催されるサッカーとソフトボール、それに、静岡県小山町で開催される自転車競技を観戦する計画を立てていて、510枚のチケットを申請していました。

町では、感染防止対策として貸し切りバスを使うことなどを検討していましたが、その後、新型コロナウイルスの感染が収束しておらず、変異ウイルスの感染拡大も続いていることなどから感染のリスクがあるとして先週、中止を決めました。

町では、今後、経緯を文書でまとめ、保護者などに説明することにしています。

山北町学校教育課の高橋英治課長は「一生に一度あるかないかの東京でのオリンピックを見てほしかったが、子どもの健康と安全を考えて苦渋の決断をしました。ご理解をお願いしたいです」と話していました。

埼玉県

埼玉県では、「学校連携観戦チケット」がおよそ9万2000枚割り当てられ、このうち、およそ7万1000枚が希望した38の自治体に、配分されています。

NHKがこの38の自治体に取材したところ、三芳町や和光市など8つの市町が現時点では予定どおり、観戦を行う意向を示した一方で、さいたま市や川口市など29の市町村がチケットのすべてか一部、合わせて少なくとも4万5000枚をキャンセルする方針であることが分かりました。

所沢市は判断を保留しています。

キャンセルした自治体は理由について、会場内や移動中の公共交通機関での感染への不安や熱中症などを挙げています。

埼玉県は「前提となるのは、児童や生徒の安全を確保することなので、キャンセルはしかたない。各自治体の意向を尊重して調整したい」とコメントしています。

射撃競技会場の朝霞市では

東京オリンピック・パラリンピックの射撃の競技会場がある埼玉県朝霞市は、およそ600枚のチケットを市内の3つの小学校に配分する計画でしたが、新型コロナウイルスの感染対策への不安などから、すべてキャンセルすることを決めました。

朝霞市は、県内で唯一、パラリンピックの競技会場があることから、4年前から、小学校などで車いすバスケなどパラリンピックの競技を体験する授業を行い、共生社会を目指す取り組みに力を入れてきました。

こうした中、子どもたちにパラリンピックのアスリートの姿を実際に見てもらおうと、朝霞市はパラリンピックの射撃のチケットを希望し、割り当てられたおよそ600枚を市内の3つの小学校に配分する方針でした。

しかし、今月上旬、県からキャンセルを受け付けるという通知が来たことから、検討した結果、すべてキャンセルすることを決めました。

理由について、朝霞市は観客の有無や会場の感染対策などが不透明で、子どもの安全を確保できるか、不安があることをあげています。

朝霞市オリンピック・パラリンピック室の堀川政昭室長は「パラリンピックの競技を見て子どもたちに何か感じ取ってほしいと思っていたので、それがかなわなくなったのは残念だが、今の感染状況を考えると、しかたのないことだと考えている」と話していました。

千葉県

千葉県では去年1月の時点で54あるすべての自治体の公立と私立の小・中・高校合わせておよそ800校に対して10万5000枚のチケットを配布する予定でした。

NHKが人口10万人以上の17の市に取材したところ、現時点で3つの市は予定どおり観戦を行うことにしていますが、13の市ではチケットのすべてか一部をキャンセルする意向であることがわかりました。

観戦を予定どおり行うことにしているのは千葉・浦安・我孫子の3つの市で、希望者を対象に幕張メッセや国立競技場で観戦する予定だということです。

一方、すべての学校で観戦を中止したのは、八千代・佐倉・野田・鎌ケ谷・印西の5つの市です。

また、船橋市や松戸市、市川市などの8つの市は学校ごとに観戦に行くかどうか判断していて、現時点では一部の学校がキャンセルを決めているということです。

このほか習志野市は判断を保留しています。

キャンセルの理由としては、「感染対策の面で不安がある」「保護者の理解を得るのが難しい」などのほか、「大会の延期で学校行事と重なってしまった」「観戦に行くバスを手配するのが難しい」といった声があるということです。