「最終予選は別次元の戦いに」サッカー日本代表 収穫と課題

サッカー日本代表は、2019年から始まったワールドカップアジア2次予選の最終戦でキルギスに5対1で勝利し、2次予選の8試合を全勝で終えました。
そして9月からは最終予選がスタートします。日本代表の森保監督は「最終予選は2次予選とは全く別次元の厳しい戦いになると覚悟して臨まないといけない」と話し、その表情を緩めることはありませんでした。

アジア最終予選へ

2022年11月に開幕するサッカーワールドカップカタール大会。アジアの出場枠は「4.5」で、日本を含む12の国がことし9月からの最終予選を戦います。

2次予選は2023年に中国で開かれる「アジアカップ」の予選もかねて、去年9月に始まり、グループFの日本は8戦全勝で最終予選進出を決めました。
【日本代表の2次予選 結果】
2019年9月10日 日本 2対0 ミャンマー(アウェー)
2019年10月10日 日本 6対0 モンゴル(ホーム)
2019年10月15日 日本 3対0 タジキスタン(アウェー)
2019年11月14日 日本 2対0 キルギス(アウェー)
2021年3月30日 日本 14対0 モンゴル(ホーム)
2021年5月28日 日本 10対0 ミャンマー
2021年6月7日 日本 4対1 タジキスタン
2021年6月15日 日本 5対1 キルギス
(2021年のミャンマー戦からは日本で集中開催)
▽8試合8勝0敗
▽総得点:46
▽総失点:2

【最終予選進出国と成績】
▽シリア(グループA:1位)8試合7勝1敗
▽中国(グループA:2位)8試合6勝1敗1分
▽オーストラリア(グループB:1位)8試合8勝0敗
▽イラン(グループC:1位)8試合6勝2敗
▽イラク(グループC:2位)8試合5勝1敗2分
▽サウジアラビア(グループD:1位)8試合6勝0敗2分
▽オマーン(グループE:2位)8試合6勝2敗
▽日本(グループF:1位)8試合8勝0敗
▽UAE(グループG:1位)8試合6勝2敗
▽ベトナム(グループG:2位)8試合5勝1敗2分
▽韓国(グループH:1位)6試合5勝1分
▽レバノン(グループH:2位)6試合3勝2敗1分
(※グループE、1位はW杯開催国のカタール)
(※グループHは北朝鮮が参加を辞退したため、北朝鮮との試合は無効扱い)

3週間で5試合

新型コロナウイルスの影響で長く活動ができなかった日本代表。それでも2次予選が、日本での集中開催となったことで、チームは5月24日から3週間にわたって合宿をしながら実戦を重ねることになりました。
5月28日のミャンマー戦には海外のチームに所属する選手だけでのぞみ、大迫勇也選手の5得点の活躍もあって、10対0で快勝。
新型コロナウイルスの影響でジャマイカとの強化試合は中止となりましたが、6月3日には東京オリンピック世代の24歳以下の代表とも対戦して勝利。さらに11日には、世界ランキング上位のセルビアとの強化試合にも勝ちました。

3週間余りの合宿期間中、日本代表は5試合すべてに勝利し、森保監督は、2つの点で手応えを感じたと言います。

手応え感じた“選手層”

1つめは「選手層の厚さ」。
新戦力の台頭が光りました。
24歳以下の日本代表の活動に合流するため、主力選手の一部がチームを離れたものの、これまで出番の少なかった選手を試すことができました。

5年ぶりにヨーロッパ勢から勝利したセルビア戦では、吉田麻也選手と冨安健洋選手という不動のセンターバック2人がいない中、3年半ぶりに代表に復帰した川崎フロンターレの谷口彰悟選手とフランス1部リーグの植田直通選手が落ち着いた守備で得点を許しませんでした。
15日のキルギス戦では、大迫勇也選手がケガのため追加招集された横浜F・マリノスのオナイウ阿道選手が代表初先発ながら3得点のハットトリックを達成、結果を残しました。

森保監督は「選手層を厚くしながら、チームのベースのレベルアップができている」と評価。ベテランの長友佑都選手も「10年以上、日本代表にいるが、近年まれに見る競争がある。最終予選に向けてみんな生き残りをかけて必死に戦っている」と話しています。

“コンセプトの共有”

もう1つが「チームコンセプトの共有」です。

コロナ禍で今後、どういう招集の条件で試合ができるかわからないことも想定される中、森保監督はメンバーに呼べない選手がいた場合でも、チームの力を落とさないためには、より多くの選手にチームのコンセプトを理解してもらうことが大切だと考えていました。

こうした中、選手たちは試合中も互いに声をかけあってコミュニケーションを取り、チームが目指す“攻守の早い切り替え”を実践しました。
森保監督は「ボールを失った瞬間に切り替えて、できるだけ早くボールを奪い返す部分を表現してくれた。攻守において選手が意識しながらレベルアップしてくれている」と評価しました。

“徹底しないといけない部分”

一方で課題もあると感じています。

7日のタジキスタン戦は、緊張感のないプレーが2次予選の初失点を招きました。
それは日本が先制した直後、古橋選手が不用意に相手にボールを奪われたあと、ディフェンダーの昌子源選手がクリアしましたが、それが中途半端となり、再び相手にボールを拾われ簡単にクロスボールを入れられての失点でした。

また15日のキルギス戦は、日本が3対0とリードした前半終了間際のアディショナルタイムに、相手に攻め込まれペナルティーキックを与えてしまい失点しました。
森保監督は「パスの出どころにプレッシャーをかける。最後のゴール前に送られたボールに対して、相手に自由にプレーさせない部分はもっと徹底しないといけない」と指摘しました。

さらに2次予選8試合で46得点をあげた攻撃陣に対しても「最終予選は相手も強固な守備をもって戦いに挑んでくる。時間とスペースがない中で、相手ディフェンスをこじあけていかないといけない」とさらなるレベルアップを求めました。

別次元の厳しい戦いへ

このあと9月の最終予選まで、日本代表の試合は予定されていません。

1994年ワールドカップアメリカ大会のアジア最終予選。日本初のワールドカップ出場にあと1歩届かなかった「ドーハの悲劇」のピッチに立っていた森保監督。今回の収穫を前向きに受け止めながらも、改めて気持ちを引き締めました。
「最終予選は2次予選とは全く別次元の厳しい戦いになると覚悟して臨まないといけない。最終予選にふわっと入ると非常に痛い思いをする。個としてチームとして常にレベルを上げながら気を引き締めて準備をしていく」