東京五輪 野球日本代表に楽天の田中や巨人の菅野ら24人選出

東京オリンピックの野球日本代表に内定した24人が発表され、楽天の田中将大投手や巨人の菅野智之投手、それにソフトバンクの柳田悠岐選手などが選ばれました。

野球日本代表の稲葉篤紀監督は16日午前、東京都内で会見を行い、代表メンバーに内定した24人の選手を発表しました。

ピッチャーでは、大リーグ・ヤンキースから楽天に復帰した田中投手が8年ぶりに代表に選ばれたほか、巨人の菅野投手やオリックスの山本由伸投手などがメンバーに入りました。

また、開幕から33試合連続無失点を続け、プロ野球記録を更新している西武の21歳、平良海馬投手や広島の2年目、森下暢仁投手、ルーキーの栗林良吏投手など成長著しい若手ピッチャーも抜てきされました。

野手では、ソフトバンクの柳田選手をはじめ、巨人の坂本勇人選手、楽天の浅村栄斗選手、広島の鈴木誠也選手などのほか、両リーグトップの20本のホームランを打っているヤクルトの21歳、村上宗隆選手も選ばれました。

稲葉監督は「この24人の選手と東京オリンピックで戦えるのは誇りに思う。関わったすべての方々の思いを背負って目標である金メダルを獲得し、喜びを分かち合いたい」と意気込みを示しました。

東京オリンピックには日本、アメリカ、韓国、メキシコ、イスラエルと、今月行われる最終予選を勝ち抜いた1チームの合わせて6チームが出場し、日本の初戦は来月28日に福島県営あづま球場で行われます。

東京オリンピックの野球日本代表に内定した24人の選手です。
▽ピッチャーは11人です。
楽天の田中将大投手。
オリックスの山本由伸投手。
西武の平良海馬投手。
阪神の岩崎優投手と青柳晃洋投手。
巨人の菅野智之投手と中川晧太投手。
中日の大野雄大投手。
広島の森下暢仁投手と栗林良吏投手。
DeNAの山崎康晃投手。
▽キャッチャーは2人です。
ソフトバンクの甲斐拓也選手。
広島の會澤翼選手。
▽内野手は6人です。
楽天の浅村栄斗選手。
西武の源田壮亮選手。
巨人の坂本勇人選手。
ヤクルトの山田哲人選手と村上宗隆選手。
広島の菊池涼介選手。
▽外野手は5人です。
ソフトバンクの柳田悠岐選手と栗原陵矢選手。
オリックスの吉田正尚選手。
日本ハムの近藤健介選手。
広島の鈴木誠也選手。

監督が語った選考理由

稲葉監督は「1年延期という不測の事態が起きたが、金メダルという目標は少しも変わることはない。プレミア12を戦ったチームを土台にしているが、あれから1年半経過し、けがや新しい戦力など変化する状況を含め金メダルを獲得するためにメンバーを検討した。いい選手を選ぶのではなく、どうやったらいいチームを作れるのかを重視しながら決めた。就任時から掲げるスピードアンドパワーを具現化してくれる選手たちだ」と選考のポイントを説明しました。

24人のうち、おととしのプレミア12に続いて選出されたのは14人で、野手は13人のうち10人を占めました。

稲葉監督はオリンピックではキャプテンを指名せず、プレミア12に続いて選んだ巨人の坂本勇人選手と広島の菊池涼介選手にリーダー役を期待したうえで「野手はプレミア12に出た選手ばかりなので、コミュニケーションはとりやすいと思う。ジャパンへの熱い思いを抱えた選手の集まりなので、結束力を持って戦っていきたい」と話していました。

また故障明けで状態が万全でない選手や調子が上がっていない選手を選出したことについて「今、状態がよくなくても、これからの1か月で上げてくれると信じている。これまで選手の姿を見てきた中でこの選手とオリンピックを戦いたいと思った強い思いを持った選手たちなので、信じて戦っていきたい」と話していました。

1年延期で新戦力も

今回のメンバー24人のうち代表初選出は6人で、このうちピッチャーが5人です。

そして新型コロナウイルスの影響でオリンピックが1年延期となり、その間に急成長を遂げた若手ピッチャーが抜てきされました。

西武の21歳、平良海馬投手は抜群の安定感で開幕から33試合連続無失点とプロ野球記録を更新しています。

広島の2年目、森下暢仁投手は昨シーズン、防御率1点台で新人王に輝き、今シーズンも勝ち星には恵まれていませんが、防御率は2点台前半をマークしています。

同じく広島のルーキー、栗林良吏投手は1年目から抑えを任され、開幕から22試合連続無失点を記録した新戦力です。

稲葉監督は抜てきした若手ピッチャーについて「これまでのプレーを見ていても動じないし、どういう状況でも自分の投球をしていると感じた。自分の投球スタイルでどんどんやってほしい」と期待していました。

8年ぶりの代表招集となった田中将大投手は、2008年の北京オリンピックにプロ2年目、19歳のときに出場していて、24人のメンバーの中でただ1人、オリンピックを経験しています。

さらに2009年と2013年のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックにも出場し国際大会の経験は豊富です。

また中日の大野雄大投手と並んでピッチャー陣で最年長の32歳となります。

稲葉篤紀監督はメダルを逃した北京オリンピックに田中投手とともに選手で出場していて「田中投手も北京オリンピックの悔しい思いを持ってくれていると思う。先発として菅野投手とともに投手陣を引っ張ってもらいたい」と期待を寄せていました。

限られた選手枠での選考

オリンピックのメンバー数は24人と、おととし開かれたプレミア12やWBC=ワールド・ベースボール・クラシックよりも4人少なく、限られた人数でどのようにチームを編成するかがポイントとなっていました。

稲葉監督は、夏場の暑さでピッチャーは体力の消耗が早く、早めの交代が必要だと考え、ピッチャーは2008年の北京大会より1人多い11人にしました。

一方、キャッチャーは北京大会より1人少ない2人とし、シーズン中は主に外野を守るソフトバンクの栗原陵矢選手を3人目のキャッチャーも兼ねて初めて選びました。

稲葉監督は栗原選手について「どこでも守れるしどんどん振っていける。積極性は国際大会でも大事なのでそういう所にも期待したい」と話していました。

一方、メンバーの人数が限られる分、プレミア12のときに足のスペシャリストとして代走で活躍したソフトバンクの周東佑京選手はオリンピックでは招集が見送られました。

稲葉監督は「24人の枠の中で、スペシャリストを集められるかは議論になったが、このメンバーの中にもスピードを持った選手はいるので、補えると思っている」と話していました。

出場する6チームは

東京オリンピックの野球には6チームが出場します。

出場が決まっているのは、開催国の日本をはじめ、おととし9月の「アフリカ・ヨーロッパ予選」を勝ち抜いたイスラエル、おととし11月の国際大会「プレミア12」で準優勝し、アジア・オセアニアの最上位チームだった韓国と、「プレミア12」で3位に入り、アメリカ大陸の最上位チームだったメキシコ。

それに、先月31日から今月5日まで行われた「アメリカ大陸予選」を勝ち抜いたアメリカです。

このうちアメリカは、公開競技だった1988年のソウル大会と正式競技となったあとの2000年のシドニー大会で金メダルを獲得しています。

また韓国は前回、野球が行われた2008年の北京大会で、金メダルを獲得しています。

一方、イスラエルとメキシコはオリンピック初出場です。

残る1チームは、今月22日からメキシコで行われる「最終予選」で決まります。

「最終予選」は中国、台湾、オーストラリアが参加を辞退したため、ドミニカ共和国、ベネズエラ、オランダの3チームで争われます。

オリンピックで金メダルを3回獲得しているキューバは、アメリカ大陸予選の予選リーグで敗退して「最終予選」にまわることもできず、東京大会の出場を逃しています。

変則的な決勝トーナメントに

東京オリンピックでは予選リーグのあと、敗者復活が組み込まれた変則的な決勝トーナメントが行われます。

予選リーグは、世界ランキングによって3チームずつが2つのグループに分けられ、総当たり戦で順位を決めます。

そのあとの決勝トーナメントには、すべてのチームが進み、最初に予選リーグの同じ順位のチームどうしが対戦します。

1位どうしの対戦で勝てば準決勝へ進み、2位どうしの対戦の勝者と3位どうしの対戦の勝者は準々決勝で対戦し、勝ったほうが準決勝へ進みます。

一方、予選リーグを1位か2位で通過して、決勝トーナメントの初戦で敗れたチームや、準々決勝や準決勝で敗れたチームは敗者復活にまわり、そこから勝ち上がれば決勝に進むことができます。

このため、すべて順調に勝ち進んで試合数が最も少ない場合は、初戦から決勝まで11日間で5試合となります。

また敗者復活に回って試合数が最も多い場合は初戦から決勝まで11日間で6連戦を含む8試合の過密日程となります。

過去のオリンピックでの日本の成績

オリンピックの野球で、日本は公開競技として行われた1984年のロサンゼルス大会で金メダル、1988年のソウル大会では銀メダルを獲得しました。

正式競技となって最初に行われた1992年のバルセロナ大会は、準決勝で台湾に敗れましたが銅メダルを獲得。

続く1996年のアトランタ大会では決勝でキューバに敗れ、銀メダルでした。

2000年のシドニー大会から初めてプロ選手の参加が認められ、史上初めてプロ・アマ合同チームで臨みましたが、準決勝でキューバに敗れ、3位決定戦でも韓国に敗れて4位となり、公開競技の時代を通じて初めてメダル獲得を逃しました。

2004年のアテネ大会では、長嶋茂雄さんを代表監督に選び、初めてメンバー全員をプロの選手で固めましたが、長嶋さんは脳梗塞のため本番の指揮をとれず、大会も準決勝でオーストラリアに敗れて銅メダルに終わりました。

そして2008年の北京大会では星野仙一監督の指揮のもと、当時日本ハムで現役だった稲葉篤紀監督も選手として出場しましたが、準決勝で韓国に敗れ、3位決定戦でもアメリカに敗れてメダルを獲得できませんでした。

野球は、2012年のロンドン大会と2016年のリオデジャネイロ大会では競技から外れ、東京大会で追加競技としてソフトボールとともに3大会ぶりに復活しましたが、次の2024年のパリ大会では実施されないことが決まっています。

日本代表 今後の日程

野球の日本代表は来月16日と17日に予定されているプロ野球のオールスターゲームのあと、仙台市に集合して直前合宿に入ります。

合宿中には24日に楽天、25日は巨人といずれも楽天生命パーク宮城で強化試合を行います。

そして、オリンピックの開会式から5日後の来月28日に福島県営あづま球場で初戦となる予選リーグの第1戦に臨みます。

それ以降の試合は、すべてプロ野球・DeNAの本拠地、横浜スタジアムで行われ、決勝は8月7日の予定です。