米カリフォルニア州 ワクチン接種進み経済活動 再開

アメリカ西部カリフォルニア州では、新型コロナウイルスのワクチンの接種が進み、新たな感染が抑えられているとして、店舗への入場制限などのほとんどの規制が解除され、経済活動が全面的に再開しました。

カリフォルニア州では、新型コロナウイルスの感染拡大で去年3月に非常事態が宣言されて以降、感染を防止するため、レストランや商業施設への入場制限などの規制が続いてきました。

しかし、ワクチンの接種が進み、新たな感染が抑えられているとして、州政府は15日、ほとんどの規制を解除し、経済活動が全面的に再開しました。

これにより、店舗への入場制限はなくなり、深刻な打撃を受けてきた小売業や観光業の間では、業績の回復への期待が高まっています。

カリフォルニア州では、ワクチンの接種を終えた人は原則としてマスク着用の義務はなくなりましたが、鉄道やバス、飛行機といった公共交通機関を利用する場合などは引き続きマスクの着用が義務づけられます。

経済の再開についてカリフォルニア州のニューサム知事は「もう互いに距離を取る必要もなく、入場制限も必要ない。この日を迎えることができてうれしい」とコメントしています。

アメリカでは先月、ニューヨークでもレストランや美術館の入場制限が解除され、ワクチン接種の進展を背景とした経済活動の再開の動きが加速しています。

日本企業も在宅勤務から出社へ

カリフォルニア州で経済活動が再開されるなか、現地にある日本企業の間では、勤務形態を在宅中心からオフィスに切り替える動きが出ています。

最先端のIT企業が集まるカリフォルニア州のシリコンバレーには日本企業も数多く進出し、IT大手の楽天グループが運営するシェアオフィスには15社が入居しています。

このオフィスに入居する日本航空は、社員2人が新型コロナウイルスの感染が拡大した去年3月以降、在宅中心で勤務してきましたが、カリフォルニア州で経済活動が全面的に再開された15日、勤務体系を原則オフィスにする方針に切り替えました。

日本航空シリコンバレー投資戦略室の籔本祐介室長は「対面で会うという重要さも感じる1年だった。今後はオンラインと対面をうまく融合させて、仕事を進めることを期待している」と話しています。

このオフィスでは14日からは食堂も1年3か月ぶりに営業を再開し、従業員が忙しそうにランチの準備をしていました。

オフィスを運営する楽天アメリカズの富永生さんは「ようやくこの日を迎えることができた。しっかりと情報提供して日系企業には安心して仕事をしてもらいたい」と話していました。

アメリカの大手IT企業の対応は

カリフォルニア州に拠点を多くアメリカの大手IT企業の間では、経済活動が再開される中でも引き続き社員の在宅勤務を認める動きが目立っています。

このうち、フェイスブックは今月15日から在宅勤務の制度を拡大し、業務に支障がなければ、アメリカ在住の社員がカナダに移住した場合でも在宅勤務を認めます。

一方、オフィスで働きたい社員もいることから、アメリカ国内のオフィスでは、ことし10月ごろには、出勤できる人数の制限をなくす方針です。

グーグルは1週間のうち、3日ほどをオフィス勤務とし、残る2日間は社員が勤務場所を選択できるようにします。

また、業務によっては、在宅などオフィス以外での継続的な勤務を認めていて、会社側では週に数日、出勤する社員が60%、在宅勤務の社員が20%、オフィス以外で働く社員が20%になるとみています。

ツイッターは来月12日からサンフランシスコとニューヨークにあるオフィスを再開する一方、出勤できるのはワクチンの接種を終えた社員に限り、人数も制限します。

出勤するかどうかは社員の判断に委ねられ、継続的な在宅勤務を認める方針も変更しないとしています。

一方で、西部ワシントン州に本社を置くアマゾンは、オフィスでの勤務を基本とし、アメリカ国内ではことしの秋までには、ほとんどの社員が通勤するようになるという見通しを明らかにしています。