イスラエル“マスクなし”に 生活規制ほぼなくなる

新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中東のイスラエルでは、15日から屋内でのマスクの着用義務が解除されました。国内で生活するうえでの規制はほぼなくなり、住民は以前の生活を取り戻しつつあります。

16歳以上の人口の8割以上がワクチン接種を終えたイスラエルでは、一日の新規の感染者数が平均で12人にまで減少し、今月からは集会の際の人数制限や、接種の証明書の提示義務がなくなりました。

さらにイスラエル政府は15日、国際線の利用や、ワクチンを接種していない人が病院や高齢者施設を訪れる場合を除き、屋内でのマスクの着用義務を解除しました。

エルサレムのショッピングモールでは、ほとんどの人がマスクをせずに買い物や食事を楽しんでいました。

妻と買い物に訪れた73歳の男性は「ほとんどの人がワクチンを接種し、感染者も少なくなっているので、マスクをしなくても安心です。うれしいですし、大丈夫だと感じています」と話していました。

また、18歳の店員の男性は「店内で一日8時間もマスクを着けているのは大変だったのでうれしいです。ワクチンも接種しているので特に不安はありません」と話していました。

イスラエルでは入国の際に原則、ワクチン接種が求められるなど、水際対策は残っていますが、国内で生活するうえでの規制はほぼなくなったことで、移動や買い物などが自由にできるようになり、住民は感染が広がる前の生活を取り戻しつつあります。

専門家「集団免疫は未獲得か」

これについて、ワクチン接種が新型コロナウイルスの感染拡大に与える影響について研究しているニューヨーク大学のクリス・ディッキー博士は「イスラエルが集団免疫を獲得した段階にあるとは言いにくく、マスクの着用を止めるのは大胆な決断のようにみえる。ただイスラエルは世界的にみても高いワクチン接種率を達成していて、ウイルス検査の陽性率や感染者の数がとても低くなっているため、ワクチンが未接種の人にとってもリスクが比較的低くなっているという判断があるのだろう」と評価しています。

一方で、18歳以下の若い世代での接種率はまだ低いとして、「成人人口の多くがワクチンを接種していれば、感染は広がりにくいという研究もあるが、今後、感染者数や陽性率が急上昇することはないか注視していく必要がある」としています。

ディッキー博士は「イスラエルだけでなく、アメリカでも一部の都市では検査の陽性率が低下し、ワクチンを接種した人にとっては感染するリスクが低くなっている。今後、ワクチン接種率が高い国では、マスクなどの感染対策が順次、緩和されていくだろう。しかし、パンデミックを乗り越えて、かつての世界に戻るためにはワクチンの接種をためらっていたり、拒否したりする人に働きかけワクチンの接種率を高める努力を続けなくてはいけない」と話しています。