「医療的ケア児」支援する法律 待ち続けた親子の思い

たんの吸引や人工呼吸器など、医療的なケアが必要な子どもやその家族を支援するため国や自治体に必要な対応を求める法律が、11日の参議院本会議で可決・成立しました。

心待ちにしてきた親子 介助は昼夜を問わず

この法案の成立を心待ちにしていた親子がいます。

東京・江戸川区に住む山本阿伎さん(37)です。

3歳の息子、瑛太くんは、出産時のトラブルで重度の脳性まひがあり、人工呼吸器やたんの吸引といった医療的ケアが必要です。

さらに、自分で歩いたり食べたりすることができないため、昼夜を問わず生活面すべてで介助が必要です。

山本さんは「夫婦で順番に起きて、4時間ずつ寝て、座って待機も必要です」と話していました。

それでも働きたい

経済的な理由もあり、子育てをしながら美容関係の企業で働いていますが、希望通りにはヘルパーからの支援を受けることは難しく、会社の配慮で担当部署を変更し在宅勤務を増やすなどして、なんとか仕事を続けています。

しかし、今後、瑛太くんが小学校に進学すると、親の付き添いが必要になり、仕事を辞めざるをえないのではないかと不安を感じていたといいます。

山本さんは「家以外で母でもなく妻でもない、1人の女性として必要とされるというのは自分でいられる時間であり、必要とされたいと思っていて、働きたいです」と話しています。

支援の実現へ 賛同する人が次々に

国会で自分たちのような親子を支援するための法案が提出されると聞き、山本さんは同じような悩みを抱えていた母親たちと連携し、ことし3月からオンラインで支援の実現を求める署名活動を始めました。

2000人を目標に署名を始めましたが、同じように悩んでいた家族だけでなく、さまざまな人たちから賛同する声が寄せられ、1か月ほどで目標の10倍以上の2万6500人の署名が集まりました。

署名とともに「医療的ケアのある子どもたちも地域でいっしょにすごせるといいな」とか、「どんな障害や病気があっても明るい未来がある社会に」といったメッセージも寄せられました。

これからが本当のスタート

そして先月14日には集まった署名を、法案を議論する衆議院の厚生労働委員会に手渡し、法案の成立を訴えました。

山本さんは、今回の法案をきっかけに支援の体制が整備されていくことを期待しています。
山本さんは「これから法律ができてからが本当のスタートだと思うので、どう法律が私たちの生活につながっていくか、自分たちにできることをしていきたいなというふうに思っています」と話しています。