新型コロナ新規感染者数 緊急事態宣言10都道府県すべてで減少

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、増加が続いていた沖縄県でも減少に転じるなど、緊急事態宣言が出されている地域ではすべて減少しています。一方、「まん延防止等重点措置」が適用されている神奈川県や千葉県などで下げ止まりの傾向が見られています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数を元に、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国

全国では、先月13日までの1週間では前の週に比べて1.34倍でしたが、先月20日は0.85倍と減少に転じました。

その後も先月27日は0.77倍、今月3日は0.69倍、10日まででは0.72倍と、4週連続で減少が続いていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ2100人となっています。

新規感染者数が前の週より増えたのは、大規模なクラスターが発生した山梨県のほか、千葉県と長崎県の3県となっています。

緊急事態宣言地域 10都道府県すべてで減少

緊急事態宣言が出されている地域では、先週まで4週連続で増加していた沖縄県は新規感染者数の多い水準は続いているものの、減少に転じ、10都道府県すべてで減少しています。

このうち、沖縄県では、大型連休明けから感染が急速に拡大し、緊急事態宣言が出された後の先月27日までの1週間では前の週の1.50倍、今月3日は1.22倍と4週連続で増加していましたが、10日まででは0.71倍と減少に転じました。1日当たりの新規感染者数はおよそ185人で、人口当たりの感染者数で見ると、非常に高い水準となっています。

北海道は、4月上旬から感染の拡大が続いていましたが、先月27日までの1週間では前の週の1.03倍、今月3日は0.59倍、10日まででは0.56倍と2週連続で減少しました。しかし、1日当たりの新規感染者数はおよそ184人で依然として高い水準で推移しています。

東京都は、先月27日までの1週間では前の週の0.83倍、今月3日は0.81倍、10日まででは0.82倍と4週連続で減少していますが、減少のペースは緩やかで、1日当たりの新規感染者数はおよそ392人と依然として多い状態が続いています。

愛知県は、先月27日までの1週間では前の週の0.82倍、今月3日は0.65倍、10日まででも0.65倍と3週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数はおよそ191人となっています。

大阪府は、先月27日までの1週間では前の週の0.59倍、今月3日は0.63倍、10日まででは0.74倍と6週連続で減少し、1日当たりの新規感染者数は153人となっています。

兵庫県は、先月27日までの1週間では前の週の0.60倍、今月3日は0.59倍、10日まででは0.69倍と4週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数はおよそ60人となっています。

京都府は、先月27日までの1週間では前の週の0.54倍、今月3日は0.64倍、10日まででは0.93倍と4週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数はおよそ43人となっています。

広島県は、先月27日までの1週間では前の週の0.74倍、今月3日は0.50倍、10日まででは0.47倍と3週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数はおよそ37人となっています。

岡山県は、先月27日までの1週間では前の週の0.54倍、今月3日は0.44倍、10日まででは0.38倍と4週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数はおよそ13人となっています。

福岡県は、先月27日までの1週間では前の週の0.58倍、今月3日は0.51倍、10日まででは0.49倍と4週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数はおよそ62人となっています。

重点措置適用中の地域 減少続く一方下げ止まりも

「まん延防止等重点措置」が適用されている地域では、13日をもって重点措置が解除される群馬県と石川県、熊本県で減少が続く一方で、首都圏の神奈川県や千葉県などで下げ止まりの傾向が見られています。

神奈川県は、先月27日までの1週間では前の週の0.87倍、今月3日は0.86倍でしたが10日まででは0.98倍とほぼ横ばいとなり、1日当たりの新規感染者数はおよそ207人となっています。

千葉県は、先月27日までの1週間では前の週の0.88倍、今月3日は0.84倍と3週連続で減少していましたが、10日まででは1.03倍と再び増加に転じ、1日当たりの新規感染者数はおよそ99人となっています。

埼玉県は、先月27日までの1週間では前の週の0.71倍、今月3日は0.79倍、10日まででは0.81倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ94人となっています。

岐阜県は、先月27日までの1週間では前の週の0.59倍、今月3日は0.86倍、10日まででは0.44倍で1日当たりの新規感染者数はおよそ28人となっています。

三重県は、先月27日までの1週間では前の週の0.61倍、今月3日は0.98倍、10日まででは0.63倍で1日当たりの新規感染者数はおよそ16人となっています。

また、13日をもって解除される地域のうち、群馬県は先月27日までの1週間では前の週の0.78倍、今月3日は0.45倍、10日まででは0.57倍で1日当たりの新規感染者数はおよそ11人となっています。

石川県は、先月27日までの1週間では前の週の1.08倍、今月3日は0.51倍、10日まででは0.42倍で1日当たりの新規感染者数はおよそ9人となっています。

熊本県は、先月27日までの1週間では前の週の0.58倍、今月3日は0.46倍、10日まででは0.39倍で1日当たりの新規感染者数はおよそ10人となっています。

政府分科会 舘田教授「感染者数下げ止まりや再拡大心配」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「緊急事態宣言が出されている10の都道府県すべてで感染者数は減少しているが、下げ止まりが心配される地域も出てきている。順調に下がっていくのか、引き続き注意して見ていかなければならない。特に東京では緊急事態宣言の期間中でも夜の人出が増えていて、今後、感染の再拡大につながらないか心配される」と話しています。

また緊急事態宣言の解除について「いくつかの地域に関しては感染者数の減少が続き、医療のひっ迫も解消されつつあり、解除も視野に入ってくる。その一方で、依然として医療の状況が厳しい北海道や沖縄県、いまだに感染者数が多い東京都や大阪府に関しては慎重に考えていくべきだ」と指摘しました。

そのうえで舘田教授は「ワクチン接種は進んでいるが、集団免疫の獲得にはまだしばらくかかり、油断できる状態ではない。さらにインドで見つかった変異ウイルス『デルタ株』は、まだ数は少ないが確実に増えてきている。人出が増加するのに、変異ウイルスの拡大が重なってしまうと感染者数がすぐに増加に転じ、次の大きな感染拡大につながってもおかしくない。たとえ宣言を解除したとしても1か月間はまん延防止等重点措置の適用を考慮するなど、細心の注意を払って対応を続けるべきだ」と話しています。