栃木県内の刑務所 65歳以上の受刑者へのワクチン接種進まず

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、栃木県内の刑務所にいる65歳以上の受刑者への接種が進んでいないことが刑務所や自治体などへの取材でわかりました。専門家は「刑務所では感染が広がりやすく、できるだけ早い接種が望ましい」と話しています。

新型コロナウイルスのワクチン接種は、65歳以上の高齢者への優先接種が進められていて、政府は来月末までにすべての高齢者への接種を完了することを目指しています。

こうした中、栃木県内にある3つの刑務所や自治体などに取材したところ、65歳以上の受刑者への接種が進んでいないことがわかりました。

このうち、さくら市にある「喜連川社会復帰促進センター」には、65歳以上の受刑者が今月7日の時点で117人いましたが、1人も接種しておらず、スケジュールも決まっていないということです。

また、栃木市の栃木刑務所でも、65歳以上の受刑者全員の接種ができていないということです。

一方、大田原市の黒羽刑務所は、今年度中に閉庁する予定で、受刑者に高齢者はいません。

刑務所でのワクチン接種は、所在地の自治体が行うことになっていて、法務省は「刑務所が自治体と適切に調整して、混乱のないよう進めていく」としています。

さくら市と栃木市では、刑務所側の準備状況と、一般の高齢者への接種の進捗状況などを踏まえながら、計画作りを進めたいとしています。

受刑者の処遇に詳しい国士舘大学の辰野文理教授は「刑務所などの矯正施設は、感染が確認されても隔離しづらい環境にあり、感染が広がりやすいので、できるだけ早い接種が望ましい」と話しています。