新型コロナ 入院の優先度判断 新たな基準の考え方を学会が提言

新型コロナウイルスにより医療がひっ迫した際に治療が必要な患者をいち早く入院につなげるため、救急の専門医などで作る学会は医学的な検査で緊急性を判定し、入院の優先度の判断に活用する新たな基準の考え方を提言としてまとめました。

この提言は、日本救急医学会と日本臨床救急医学会が共同でまとめました。

学会によりますと、これまでは入院の優先度について統一された基準はなく、保健所などで聞き取った内容をもとに判断するしかないケースが多くあったということです。

提言では、病床がひっ迫している場合に新型コロナウイルスで急速に重症化する緊急性の高い患者がいち早く入院できるよう、入院の優先度を判断するための基準の考え方が盛り込まれました。

基準では、患者の状態を緊急性に応じて4つに分け、基礎疾患があるかどうかや血液中の酸素の値など従来から使われている指標に加えて、詳細な血液検査の数値や肺の画像診断など医学的な検査結果を活用して緊急性を判定するとしています。

そのうえで、入院の優先度は患者の状況や症状の変化などを踏まえて総合的に判断されるべきだとしました。

学会では、医療機関での検査結果を活用することで、より適切なタイミングで治療を受けられるようになることが期待できるとしています。

作成にあたった帝京大学医学部の森村尚登主任教授は「医療がひっ迫する状況では、保健所と医療機関がさらに連携することで患者の状態をより正確に判断できる。より迅速に判断するためにも少しでも症状がある場合は医療機関を受診してほしい」と話していました。