スポーツ

東京五輪 パブリックビューイング 中止や見直し求める声相次ぐ

東京オリンピック・パラリンピックの期間中、都などが計画しているパブリックビューイングについて地元の自治体などから中止や見直しを求める声が相次いでいます。
東京都と組織委員会は東京大会の期間中に、パブリックビューイングや競技の体験コーナーなどをあわせたイベント会場「ライブサイト」を都内では代々木公園と井の頭公園に設置する計画ですが、代々木公園については、オリンピックの期間はワクチン接種の会場として使うことを理由に中止されることになりました。
さらに、井の頭公園について公園が立地する▼武蔵野市は「多くの人が集まることを懸念する声が数多く市に届いている」として中止を求める要望書を都に提出したほか、▼三鷹市は中止までは求めていませんが、▽入場者数の制限や飲食ブースの廃止などの感染対策を徹底するほか、▽公園内にワクチンの接種会場を設けることなどを都に要請しています。
一方、都の主催で計画されている▼パラリンピック期間中の調布駅前のホールでのパブリックビューイングについて、地元の調布市が実施の是非を再検討するよう求めています。

さらに、▼八王子市にある都立大学のキャンパスに設ける会場については、教職員で作る労働組合が会場の貸し出しを中止するよう大学に求め、大学も都に対し、最大限の対策を求めています。

こうした自治体などからの要望について都は、「寄せられた意見を受け止め、対応を検討している。パブリックビューイングの実施によって人流が発生することは否定できず、専門家にも意見を聞きながらできる限りの対策を行いたい」としています。

その上で、政府によるイベントの制限などの状況を踏まえパブリックビューイングの実施の是非や人数制限などの内容を今後、判断する方針です。

小池知事 「自治体から要望 意見交換しながら調整」

東京都などが計画しているパブリックビューイングに対して地元の自治体などから中止や見直しを求める声が相次いでいることについて、小池知事は11日の記者会見で、「それぞれの自治体から要望をいただいているので、いろいろな意見交換をしながら調整しているのが現状だ」と述べました。
そのうえで、「大会組織委員会のガイドラインや政府のイベント開催の方針なども踏まえて準備や調整をしていく」と述べました。

一方、7月、都内で行われるオリンピックの聖火リレーを公道で実施するかどうかについて、小池知事は、「新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえながら判断していく」と述べました。

大学生 「万全の対策を整えて」「必要なのかどうか疑問」

パブリックビューイングが計画されている八王子市にある都立大学南大沢キャンパスでは、学生からさまざまな声が聞かれました。

このうち、3年生の男子学生は、「個人的にはオリンピックを盛り上げるのはいいことだと思っているので、万全の対策を整えた上でやるのがいい。人が集まりすぎるのはよくないのでもしやるのであれば、座る間隔を空けて参加は近所の人に限定したほうがいい」と話していました。

一方、2年生の女子学生は、「学生はオンライン授業なのに外部の人をキャンパスに入れていいのか。そもそもパブリックビューイングが必要なのかどうかも疑問で競技の中継は家で見ればいい。パブリックビューイングで盛り上げる方向に動くのは今、やるべきことではないと思う」と話していました。

東京23区 対応分かれる

東京オリンピック・パラリンピックの大会期間中にパブリックビューイングを行うかどうか東京23区に聞いたところ、5つの区が「新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ中止する予定だ」としたほか、12の区が「実施するか慎重に検討している」などと回答しました。

NHKは10日までに東京23区に対して、区内でパブリックビューイングや競技の体験コーナーなどをあわせたイベント会場「ライブサイト」を行うかどうか聞きました。
その結果、すでに中止を発表した◇墨田区に加え、◇杉並区、◇荒川区、◇足立区、それに◇台東区の合わせて5つの区が、「感染状況などを踏まえ、中止する予定だ」と回答しました。

一方、「実施する」と回答したのは◆千代田区、◆港区、◆中野区、◆大田区、それに◆北区の5つの区でした。

ただ、いずれの区も実施する場合は定員を制限するなどの必要な感染対策をとるとしているほか、中には、「今後の状況で見直すこともある」と回答した区もありました。

また、▽中央区、▽文京区、▽新宿区、▽目黒区、▽渋谷区、▽練馬区、▽品川区、▽世田谷区、▽豊島区、▽板橋区、▽江戸川区、それに▽葛飾区の12の区は、実施するか中止するかは回答せず、「感染状況などを見ながら慎重に検討している」などとしています。江東区は、当初からパブリックビューイングやライブサイトを行う予定がありませんでした。

東京・港区 毎日、芝公園で実施

東京・港区は東京オリンピック・パラリンピックの期間中、毎日、区立の芝公園でパブリックビューイングを実施する計画です。

この中では、公園内に300インチの大型モニターを設置し、芝生の広場から観戦できるようにする予定で、1度に入る人数を2000人までに限定します。そのうえで感染対策を徹底し、▼観客と観客の間は2メートルの空間を空けられるように地面に目印をつけるほか、▼大声を出す応援を禁止し、▼拍手や鳴り物での応援に限ることにしています。

また、港区には、80余りの大使館があることから、会場に日本に住む大使や関係者を招き、その国の文化などを来た人に紹介するイベントも計画しているということです。

港区の白石直也オリンピック・パラリンピック推進担当課長は、「コロナ禍で、実施か中止か難しい判断を迫られているのは事実で、その判断は予断を許さないが、感染対策を万全に取った上で、みんなでスポーツを応援する喜びなどを共有できる場を作っていきたい」と話していました。

横浜市 パブリックビューイングやイベント開催 中止

横浜市は、東京オリンピック・パラリンピックに関連して予定されていたパブリックビューイングやイベントの開催を中止すると発表しました。

横浜市では、オリンピックの開催期間のうちことし7月31日から8月7日までの間、▼横浜港の大さん橋ホールで大型スクリーンを使ったパブリックビューイングや競技体験などができるイベントが開催される予定でした。

また、▼市役所でもオリンピックとパラリンピックの期間中、毎日、パブリックビューイングを行う予定だったほか、▼磯子区の2か所でもパブリックビューイングが予定されていましたが市は、11日、いずれも中止すると発表しました。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため不要不急の外出の自粛が呼びかけられていることなどが理由で、林文子市長は、「市民の安全安心を最優先に検討を重ね判断した。横浜市でも競技が行われので、世界中の人の記憶に残るすばらしい大会となるよう感染症対策を徹底し、大会の成功に貢献していく」というコメントを発表しました。

田村厚生労働相 自宅での観戦や応援を呼びかけ

田村厚生労働大臣は、閣議のあと、記者団に対し「適切な判断を頂いていると思う。他の地域も、専門家にも入って頂き、適切な判断をするのだと思う」と述べました。

その上で「アスリートはこの1年間大変な苦労をして、それぞれの競技で戦っているが、われわれも感染を拡大させないという戦いをしなければいけない。どうやってリスクを減らした大会にしていくか、まさに今回のオリンピックの意義は、それそのものだと思う」と述べ、感染リスクを抑えるため、自宅での観戦や応援を改めて呼びかけました。

一方、今月20日が期限となっている、10都道府県を対象にした緊急事態宣言などの解除の判断について「政府の分科会や、厚生労働省の専門家会合で、いろいろなご意見もあると思う。しっかり聞きながら、判断していくことになる」と述べました。

加藤官房長官 「地域の感染状況を踏まえ判断」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「基本的に主催者である自治体に、地域の感染状況を踏まえ、実施の可否を含めて開催の在り方を検討していただく。一方で、イベントなどの開催制限は当然あり、政府の分科会で議論していただき、来月以降についてはこれから決めていくことになるので、そういったものも踏まえながら判断していただきたい。各自治体には、組織委員会が示している指針や専門家の意見、イベントの開催制限などを踏まえ、住民の安全を確保する観点も含めて適切に判断していただけるものと考えている」と述べました。

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