脳腫瘍 ウイルス投与でがん攻撃 薬開発の研究者「応用も期待」

悪性の脳腫瘍の患者に特殊なウイルスを投与してがん細胞を攻撃する国内では初めての薬が期限付きで承認されることを受けて、開発した東京大学の研究者が会見を開き、さらに研究が進めばほかのがんへの応用も期待できると話しました。

会見を開いたのは、東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授です。

この薬は、遺伝子組み換えの技術でがん細胞の中だけで増えるようにした特殊なヘルペスウイルスを使ってがん細胞を攻撃するもので、神経膠腫と呼ばれる悪性の脳腫瘍に対して一定の有効性が認められたなどとして、先月、厚生労働省は期限付きで承認することを決めました。

会見で藤堂教授は、この薬の治験のデータとして、悪性度の高い脳腫瘍では手術など標準的な治療後に再発した場合、1年後の生存率が15%程度とされるのに対し、この薬を使った人では1年後の生存率が92.3%だったことを紹介しました。

そして、ウイルスを使って治療を行う「ウイルス療法」の薬として国内では初めての承認となることについて「製薬会社にとっても薬の審査をする政府側にも前例のないケースで、一緒になって道を切り開いていった」と話しました。

また藤堂教授は、この治療法は今後、研究が進めばほかの多くのがんにも効果が期待できるとして「なるべく早い段階でいろいろな種類のがんの患者を対象に臨床試験を行いデータを積み上げたい」と話していました。