全国知事会議 “ワクチン接種に総力を” 行動宣言を採択

全国知事会議がオンライン形式で開かれ、新型コロナウイルスの感染拡大防止の切り札となるワクチン接種がすべての地域で迅速に進むよう総力を挙げて取り組むとした行動宣言を採択しました。

年1回開かれる全国知事会の全体会合「全国知事会議」は、去年に続いてオンライン形式で開かれ、45人の知事が参加しました。

はじめに、知事会の会長を務める徳島県の飯泉知事は、新型コロナウイルス対策について「国民の大きな期待はワクチン接種だ。菅総理大臣が10月から11月に希望するすべての人に接種できる見込みを示したのは、国と自治体の連携がスムーズにいった結果だ」と述べました。

このあと知事からは、ワクチン接種に関する意見が相次ぎ、▼東京都の小池知事は「一刻も早くコロナを克服して日本全体を覆っている閉塞感を取り払うためにはワクチン接種を加速させないといけない。財源は国が責任を持って全面的に財政措置すべきだ」と述べました。

また、▼愛媛県の中村知事は「接種を円滑に進めるには国が供給スケジュールを明確にすることが大前提だ」と指摘したほか、▼福井県の杉本知事は「職域接種は1つの会場で1000人規模という方針が示されたが、地方の中小企業では困難だ。地方の実情にあった対応を求めたい」と述べました。

そして、会議では、新型コロナウイルスの感染抑制に向けた「行動宣言」を採択し「感染拡大の防止の切り札となるワクチンによって、コロナ禍という長いトンネルの出口がようやく見えてきた」とした上で「集団免疫の早期獲得に向けて、すべての地域で迅速に接種が進むよう総力を挙げて取り組む」という決意が盛り込まれました。

東京都 小池知事 「変異株対策が課題」

小池知事は、「一刻も早くコロナを克服し、日本全体を覆っている閉塞感を取り払うためには、ワクチン接種を加速させなければならない」と述べました。

また、「ワクチン接種が進むまでの間、変異株をどう防ぐかが大きな課題だ。都道府県が地域の実情を踏まえて対策を行っていくべきだ」と述べました。

そのうえで、「対策には国が責任を持って全面的に財政措置すべきだが、休業や時短を要請する大規模施設などの協力金については、自治体への十分な財政支援が行われているとは言い難い。全国知事会を通じてしっかりとした対応を国に強くお願いをしたい」と述べました。

神奈川県 黒岩知事「なんとか感染状況を抑えたい」

神奈川県では新型コロナウイルスの新たな感染者が8日までの3日間連続で前の週の同じ曜日を上回りました。

この状況について黒岩知事は、「大きな衝撃を受けた。首都圏の他の都県と比べても神奈川だけ取り残されているようだ。原因が分からず、非常に厳しい状況だ」と述べました。

その上で、まん延防止等重点措置の期限が6月20日に迫っていることについて、「なんとかして感染状況を抑え解除の方向に持っていきたい」と述べました。

一方、今月28日から県内で予定されている東京オリンピックの聖火リレーについては、「感染状況を見ながらどんな形で行うかしかるべき時に結論を出したい」と述べました。

また、東京オリンピック・パラリンピックの期間中に予定されているパブリックビューイングについても「開催するかどうかを近々、判断したい」と述べました。

千葉県 熊谷知事 「飲食店認証制度で制限緩和を」

千葉県の熊谷知事は県内の感染の現状について、「『まん延防止等重点措置』の適用で、感染者数の低減傾向を作れたもののここ数日は横ばいで増加に転じないよう県民に協力を求めていきたい」と述べた上で、空港での検疫をすり抜けた人が変異ウイルスに感染した例が確認されており、検疫対策の強化を国に要望することを求めました。

また、「長引く要請を続けてきて飲食店だけでなく、幅広い業界が疲弊している。仮に次の第5波が来て再度飲食店に時短などを要請してもどこまで応じてもらえるか、大変厳しいものがある」という認識を示しました。

そのうえで感染防止基準を満たした飲食店を認証して酒類の提供や時短などの制限を緩和できる制度について熊谷知事は「国の基本的対処方針等で認めていただかないと実施できない。飲食店の持続可能な感染対策と営業の両立が実現できるよう緩和を認めてほしい」と述べました。