東京都 4週連続人出増加 リバウンドに注意を 厚労省専門家会合

厚生労働省の専門家会合では、今後の感染状況を推測する指標の1つとして、全国の主要な繁華街にどれだけの人が滞在していたかを分析したデータが示されています。東京都では4週連続で人出が増加していて、リバウンド=感染の再拡大への注意が必要です。

「滞留人口」と呼ばれるこのデータは、東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長が9日開かれた厚生労働省の専門家会合で示しました。

緊急事態宣言が出されたり、まん延防止等重点措置が適用されたりしている地域の主要な繁華街について、個人を特定しない形で得られた携帯電話の位置情報を使い移動のパターンから職場や自宅以外で15分以上滞在していた人の数を500メートルメッシュで時間ごとに分析しています。

いずれも6月6日までのデータに基づいています。

緊急事態宣言地域 10都道府県

▽東京都では、新宿や渋谷、六本木など7か所の繁華街について調査しています。

4週間連続で滞留人口が増加していて、今回の緊急事態宣言が出されてから最も低くなった2週目と比べると夜は32%、昼は26%増えています。

宣言が延長された今月1日の前後から増加が目立つということで、このまま増加傾向が続くとリバウンドの可能性もあり、警戒が必要だとしています。

▽大阪府はキタやミナミなどの7か所の繁華街のデータです。

先週と比べ夜・昼ともに滞留人口が増加し、宣言が延長されてからの昼の増加が顕著となっています。

夜については2回目の緊急事態宣言の際の最低値よりもおよそ10%低い水準を維持しています。

▽兵庫県は、今回の緊急事態宣言から2週目以降、5週連続で夜の滞留人口が2回目の宣言の際の最低値より低い水準を維持しています。

昼間の滞留人口は宣言から3週目以降、増加しています。

▽京都府は、今月1日に宣言が延長されてから夜間の滞留人口が顕著に増加しています。

昼間は宣言3週目以降、引き続き増加しています。

▽先月12日に緊急事態宣言が出された愛知県です。

夜・昼ともに2週連続で滞留人口が増加していて、夜は前回の宣言の際の最低値を超えています。

▽先月12日に緊急事態宣言が出された福岡県です。

夜間の滞留人口は低い水準を維持していますが、直近の1週間ではわずかに増加しています。

昼間は直近1週間で顕著に増加しています。

▽先月16日に緊急事態宣言が出された岡山県です。

夜間や夕方の時間帯で滞留人口が顕著に減少していて、去年春の1回目の宣言の際の最低値を下回る水準になっています。

▽先月16日に緊急事態宣言が出された広島県です。

夜・昼ともに滞留人口の減少が続いていましたが、夜間は増加し始めています。

▽同じく先月16日に緊急事態宣言が出された北海道です。

夜間の滞留人口は減少が続いています。

一方、昼間は、宣言2週目以降、横ばいとなっています。

▽沖縄県は緊急事態宣言が出されたのは先月23日です。

宣言が出されたあとは夜、昼ともに滞留人口の減少が続いています。

午後4時以降の夕方から夜間にかけての減少が顕著となっています。

まん延防止等重点措置適用地域

次に、まん延防止等重点措置が適用されている地域です。

▼4月20日に重点措置が適用された神奈川県です。

5月の大型連休以降、夜、昼ともに滞留人口はほぼ横ばいで推移しています。

▼同じく、4月20日に重点措置が適用された千葉県です。

大型連休明けの1週目には夜、昼ともに滞留人口が増加しましたが、その後は横ばいを維持しています。

▼4月20日に重点措置が適用された埼玉県です。

大型連休以降夜間の滞留人口は横ばいを維持していますが、昼間は増加が顕著となっています。

▼岐阜県です。

5月9日に重点措置が適用されてから、夜・昼ともに滞留人口が減少し、2回目の宣言の際の最低値を下回りました。

引き続き、昼・夜ともに低い水準を維持しています。

▼三重県です。

夜・昼ともに滞留人口が増加しています。

▼群馬県と石川県は、先月16日に重点措置が適用されたあと夜間の滞留人口は減少傾向が続いています。

昼間は横ばいで推移しています。

▼熊本県です。

重点措置が適用された先月16日以降、夜間の滞留人口は低い水準で横ばいとなっていますが、昼間は増加が目立っています。

専門家会合のあと、報道陣の取材に応じた脇田隆字座長は「感染状況と滞留人口はリンクしていて、感染状況が改善すれば『そろそろいいかな』という気持ちがデータに反映されている。東京都では前回・2回目の緊急事態宣言が解除されたことし3月のころと似た状況となっているという指摘もあり、今後感染が再拡大に注意が必要だ」と話していました。