米政府 コロナウイルス増殖抑える薬の確保 製薬大手と合意

アメリカ政府は9日、製薬大手メルクが開発中の新型コロナウイルスの増殖を抑える薬について規制当局が使用を認めた場合、およそ170万回分の供給を受けることで合意したと発表しました。

アメリカの製薬大手メルクが開発中の「モルヌピラビル」は、新型コロナウイルスの増殖を抑えることを目的とした飲み薬で現在、発症初期の患者が重症化するのを防ぐ効果を確かめる最終段階の臨床試験が行われています。

アメリカ政府は9日、この開発中の薬についてFDA=アメリカ食品医薬品局が緊急使用の許可を出したり正式な承認を行ったりして患者に使用できるようになった場合、供給を受けることで合意したと発表しました。

供給を受ける量は170万回分で購入金額は12億ドル、日本円で1300億円余りにのぼります。

メルクがことし4月に発表した第2段階の臨床試験の結果では、発症から7日以内に投与された患者はされなかった患者よりも入院したり死亡したりした割合が少なかったほか、多くの患者でウイルス量の減少が確認されたということですが、分析した症例数は効果を調べるうえでまだ十分ではないとしています。

メルクは今後、最終段階の臨床試験で入院や死亡のリスクを下げる効果が確認できればことし後半にもFDAに緊急使用の許可を申請したいとしているほか、世界各国の規制当局とも承認や使用の許可についての協議を進めていて、ことしの終わりまでに1000万回分以上が供給できる見通しだとしています。