“高齢者の接種完了後も対策しないと医療ひっ迫”との試算

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が今月20日までで解除された場合の東京都の感染状況について京都大学の西浦博教授がシミュレーションを行ったところ、来月末までに高齢者へのワクチンの接種が完了したとしても、感染対策がとられなければ再び医療がひっ迫する可能性があるという結果となりました。

このシミュレーションは9日に開かれた厚生労働省の専門家会合で西浦教授が示したものです。

シミュレーションでは、東京都で今月20日までで宣言が解除され、その後、感染対策が行われないと想定し、仮にこの春の大阪府と同等の急速な感染拡大が起きた場合にワクチンの接種が感染状況にどう影響するかを年齢層ごとに分けて詳しく分析しました。

その結果、来月末までにワクチンの接種を65歳以上のほぼすべてが終えたとすると高齢者の感染は大幅に減ることになりました。

ただ、ワクチンの接種が進んでいない50代以下を中心に感染は大きく広がり、それに伴って重症者数が増える計算になったということです。

この想定では8月中に再び重症者病床が不足するような流行になるという結果となりました。

会合のあと報道陣の取材に応じた専門家会合の脇田隆字座長は「専門家としてもワクチン接種が進むことに期待しているが、高齢者のワクチン接種が完了しても対策が緩んでしまうと接種していない世代で感染が拡大する。当面はワクチン接種だけでなく従来通りの感染対策を行っていく必要がある」と話していました。