専門家会合 宣言の効果や「デルタ株」などの感染状況を分析

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、感染や医療体制についての最新のデータをもとに、感染状況が深刻な沖縄県の状況など、今月20日に期限となる緊急事態宣言の効果や、拡大が懸念されるインドで広がる変異ウイルス「デルタ株」などの感染状況についての分析などが行われています。

専門家会合では、感染状況や医療体制のひっ迫が深刻な沖縄県の状況や、東京都や大阪府などの直近の人出や感染の状況のほか、今月13日にまん延防止等重点措置の期限となる群馬県と石川県、熊本県の状況などの分析が行われています。

会合で示された資料によりますと、新規感染者数は8日までの1週間では、前の週と比べて
▽全国では減少していて0.70倍、
緊急事態宣言が出されている地域では
▽北海道は0.55倍
▽東京都は0.76倍
▽愛知県は0.64倍
▽京都府は0.88倍
▽大阪府は0.74倍
▽兵庫県は0.65倍
▽岡山県は0.41倍
▽広島県は0.44倍
▽福岡県は0.51倍となっていて、
▽増加が続いていた沖縄県でも0.82倍と減少傾向に転じています。

また今月13日にまん延防止等重点措置の期限となる
▽群馬県は0.48倍
▽石川県は0.45倍
▽熊本県は0.35倍と前の週の半分以下に減少しています。

現在の感染状況を人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数で見ると、
▽沖縄県が102.89人と依然として突出して高く
▽北海道で29.45人と感染状況が最も深刻な「ステージ4」の目安となる25人を超えていて、
▽山梨県で20.84人
▽東京都で20.53人
▽愛知県で19.80人
▽高知県で17.77人
▽神奈川県で16.22人と「ステージ3」の目安の15人を超えています。

▽全国では12.89人となっています。

会合では、ワクチン接種が進むことによる感染者数や重症者数の減少への影響や、日本国内で主流となった変異ウイルスより感染力が強いおそれが指摘されているインドで急速に拡大した変異ウイルス「デルタ株」の広がりの状況などについても議論が交わされています。

田村厚生労働相「まだ沖縄と北海道は高い水準」

田村厚生労働大臣は専門家会合の冒頭「全国の新規感染者数は減少が続いているが、まだ沖縄と北海道は高い水準にあり要注意だ。愛知、岡山、広島の医療提供体制も、まだ厳しい状況で、しっかりと注視していかないといけない」と指摘しました。

また「新規感染者数が減少傾向になるとリバウンドが気になってくるが、特に東京は、夜間の滞留人口が増えつつある。夜間の人流をなんとかもう一度抑えていくことを考えないと、早晩、下げ止まる。『緊急事態宣言下にもかかわらず感染者数が上がってきた』という状況になることを避けなければならない」と警戒感を示しました。

日本医師会 中川会長 宣言「総合的に慎重に判断し結論を」

日本医師会の中川会長は記者会見で、今月20日が期限となっている緊急事態宣言の扱いについて「全国的には新規感染者数が減少傾向にあることは間違いないが、人流が増える場所が目立つなど、ハイリスクの事例が出てきたので、決して安心できない。総合的に慎重に判断して、結論を出してもらいたい。リバウンドの可能性もあり、キーワードは『慎重に』ということだ」と述べました。