建設アスベスト 最大1300万円の給付金 救済法可決・成立 参院

建設現場でアスベストの健康被害を訴えた集団訴訟に加わっていない被害者などにも、最大1300万円の給付金を支給するための法律が参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

建設現場で建材のアスベストを吸い込んで、肺がんや中皮腫などの病気になったとして、元作業員らが健康被害を訴えた集団訴訟で、国と建材メーカーの賠償責任を認める最高裁判所の判決を受け、政府は原告に最大で1300万円の和解金を支払うことなどで原告団との間で合意しました。

これを踏まえ、訴訟に加わっていない被害者や遺族にも、給付金を支給するための法律が、9日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

法律では集団訴訟の原告と同様に、症状などに応じて最大で1300万円の給付金を支給し、その財源として国が拠出する形で新たな基金を創設するとしています。

成立を受けて、厚生労働省は電話相談窓口などを通じて、給付の仕組みの周知を図り、被害者や遺族の救済につなげたい考えです。

集団訴訟の原告と弁護団らが会見

裁判を起こしていない被害者と遺族に給付金を支給するための法律が参議院本会議で可決・成立したことを受け、集団訴訟の原告と弁護団らは記者会見を開きました。

原告の1人で、アスベストが原因の中皮腫で夫と息子を亡くした埼玉県の大坂春子さん(78)は「13年間、寝ても覚めても夫と息子のことが頭から離れなかったが、ようやく2人に報告することができて、ほっとしている」と述べました。

そのうえで屋外で建設作業をしていてアスベストによる健康被害を受けた人が対象になっていないことについて「一緒に戦ってきた仲間が報われないことはあってはならず、1人残らず心から喜べる日が来るまで頑張りたい」と述べました。

都内に住む戸根山仁志さん(78)は家具をつくる仕事をしていて数年前にアスベストが原因の肺がんと診断され、おととし労災認定を受けましたが裁判に参加していません。

戸根山さんは会見で「手術をしたので少し動くだけでも息切れをすることがあり、趣味だった歌うこともできなくなった。被害者の中にはすでに亡くなってしまった人もいるが給付金の制度ができることで大勢の人が少しは報われるのではないかと思う」と話していました。

弁護団長の小野寺利孝弁護士は「これで私たちの戦いが終わるわけではない。建材メーカーが基金への協力を拒否しているため、1日も早く基金に参加してもらえるよう、引き続き、働きかけたい」と話していました。

給付金の対象は

給付金の対象となるのは、1975年10月から2004年9月までに屋内での建設作業を行っていたり、1972年10月から1975年9月までにアスベストの吹きつけ作業に従事したりしていて、アスベストが原因の中皮腫や肺がんなどになった人とその遺族です。

制度の運用は来年度にも始まる見通しです。

給付金は元作業員や遺族などの申請に基づいて厚生労働省が設置する審査会が審査を行い支給が決定されます。

症状に応じて1人当たり550万円から1300万円の給付金が支給されます。

厚生労働省は給付金の対象となるのは今後、およそ30年間で、これから病気を発症する人を含めおよそ3万1000人に上ると推計していて、支給総額は最大4000億円と見込んでいます。

厚生労働省は申請の受け付け方法などは今後、検討を進めたうえで公表することにしています。