JR東海 リニア中央新幹線 都内での地下工事を前に住民に説明

「リニア中央新幹線」の地下のトンネル工事を東京都内で始めるのを前に、JR東海は工事区間の直上にあたる住宅街の住民に対して、工事の安全対策について理解を求める説明会を開きました。

東京 品川区で開かれた今回の説明会は、大深度地下と呼ばれる40メートル以上の深さでトンネル工事が行われる区間の直上にある品川区、大田区、世田谷区の住宅街の住民を対象に開かれました。

同じ大深度地下で行われている「東京外かく環状道路」のトンネル工事では、去年、施工ミスにより直上の東京 調布市の住宅街で土地の陥没や地下に空洞が生じ、補修や対策工事、それに補償の交渉が今も行われています。

陥没や空洞ができたのは、トンネルを掘削する際に土を取り過ぎたことが原因とされたことから、説明会でJR東海の担当者は、工事で取り込む土砂の量を適切に管理することなど安全対策について理解を求めたとしています。

出席した住民は、「データに基づいて納得できる説明をしてほしい」と話していました。

工事の開始時期についてJR東海は、調布市で陥没や空洞が生じたことを受けて、「ルート上の住民に丁寧に説明をして周囲の環境に影響がないことを確認しながら進めていく」とコメントし、時期を具体的に示していません。

JR東海は今後トンネルの掘削工事をするにあたっては、改めてルート上の住民に対して説明会を開くとしています。

説明会に出席した住民は…

JR東海の説明会に出席した住民からは、工事の安全性に対する不安の声が多く聞かれました。

品川区の50代の女性は、「自宅はトンネルの建設予定地から40メートルほどの場所です。いくら、工事を安全に進めるといっても、100%の安全はないので、何かあったときにどう補償してくれるのかが気になります。しかし、きょうは通りいっぺんの説明で納得できませんでした。経済のことを考えればプラスなのかもしれませんが、住んでいる人の安全や安心をもっと考慮してほしい」と話していました。

品川区の30代の女性は、「調布の陥没もあったし、自然環境や電磁波のことがあるので、リニア工事には従来から不安を感じていました。JRの担当者は『外環道とはちがう、安全です』と強調していたが心配している住民にしっかり向き合ってほしい」と話していました。

また、世田谷区の60代の男性は、「説明会は質問と答えがかみ合わず一時、険悪な雰囲気になるなど、住民の不安感を解消するというJR側のねらいが成功しているとはとても思えません。鉄道の利用者も減っている中、リニアが本当に必要なのか、しっかり考えるべきだと思います」と話していました。

沿線住民らで作る団体は…

大田区の工事予定地のほぼ真上に住み、沿線住民らで作る団体の代表の三木一彦さん(63)は、「JR東海の説明は、リニアのルートに特殊な地盤はないと言い切り、施工管理はしっかりする、だから大丈夫だという精神論のような内容で、非常に不満でした。今回で終わりにせずに、平日の昼間ではない日時に沿線の住民を対象に、具体的なデータを示してみんなが納得する理由で説明をしてもらいたい」と話していました。

2027年 品川~名古屋の開業目指す

「リニア中央新幹線」は、2027年に品川・名古屋間で開業を目指しています。

およそ286キロの区間のうち、86%に当たる246キロ余りがトンネルで、このうち大深度地下と呼ばれる都市部の地下40メートル以上の深さの区間は、東京 品川区から町田市までの33キロ余りと、愛知県春日井市から名古屋市中区までの17キロです。

トンネルは、上りと下りの線路が入る直径およそ14メートルの大きさで、地下を掘削しながら進むシールドマシンと呼ばれる大型機械で建設するとしています。

東日本高速道路が進めている「東京外かく環状道路」のトンネル掘削工事で陥没や空洞が生じる前は、リニア中央新幹線の大深度のトンネル工事について、JR東海は都内についてはことし4月、愛知県についてはことし12月から始めるとしていました。

その後は工事を始める具体的な時期を示していません。

また静岡県が水資源への影響の懸念から着工を認めておらず、JR東海が目標とする2027年の開業が難しくなっています。

「大深度地下」と被害補償の考え方

「大深度地下」とは、都市部の地下40メートル以上の深さのところなど「通常の利用が行われない地下」と定義されています。

通常地下の開発には、土地の所有者の許可が必要ですが、首都圏・近畿圏・中部圏の大深度地下は鉄道や道路、上下水道など公共の利益になる事業のみ、法律で国や都道府県の認可を受ければ、使用ができるとしています。

土地や物件などに具体的な損失が発生した場合は、所有者が認可を受けた業者に補償を請求できると国は説明しています。

これまでに神戸市の送水管整備事業や大阪府の河川整備事業など、4つの事業が認可され、去年、「東京外かく環状道路」のトンネル建設工事で、初めて、直上の住宅街で土地の陥没や地下に空洞が生じる被害が出ました。

東京 調布市の陥没とは

大深度地下の工事で被害が出たのは、東日本高速道路が東京都内で進めている「東京外かく環状道路」のトンネルの掘削工事です。

シールドマシンと呼ばれる大型機械でトンネルの掘削が行われたあと、直上にあたる東京 調布市の住宅街で、去年10月以降、土地の陥没や地下の空洞が相次いで見つかりました。

原因について、東日本高速道路が設置した有識者委員会は、掘削する際にシールドマシンに土を取り込みすぎて、その結果地表面に陥没や空洞が生じた施工ミスが原因と結論づけています。

東日本高速道路は、被害が生じた住民と地盤の補修や補償のための手続きを進めていて、工事の再開のめどはたっていません。