公立学校 全体の3割が浸水想定区域や土砂災害警戒区域に

近年の相次ぐ豪雨災害を受け、文部科学省が全国の小中学校や高校などを調べたところ、被災するおそれがある浸水想定区域や土砂災害警戒区域にある公立学校は1万1000校余りと全体の3割に上ることが初めてわかりました。

文部科学省は、大雨による河川の氾濫や土砂災害の頻発を受け、公立の幼稚園や小中学校、高校、それに特別支援学校など、全国の3万7374校を対象に、浸水想定区域と土砂災害警戒区域における立地状況や対策について初めて調査しました。
その結果、避難に時間がかかるなどとして「要配慮者利用施設」に指定されている学校のうち、去年10月時点で、
▽洪水や高潮などで被災のおそれがある浸水想定区域にあるのは7476校で、全体の2割
▽崖崩れや土石流で被災のおそれがある土砂災害警戒区域にあるのは4192校で、全体の1割
▽その両方に立地している学校が493校あることがわかりました。

いずれかの区域にある学校は合わせて1万1175校で、公立学校全体の3割を占めています。
これらのうち、迅速な避難のため義務づけられている「避難確保計画」を策定していたのは、
▽浸水想定区域内の学校の85%
▽土砂災害警戒区域内の学校の79%でした。

また、浸水想定区域内の学校で、施設内への浸水対策や変電設備の浸水対策を講じていたのは、いずれも15%にとどまっていました。

自治体によって、区域内にある学校の割合は数%から50%近くと大きな差がありました。

文部科学省は「地理的な事情で、川沿いなどにしか学校を建てられない地域があるのはやむをえない」として、教育委員会などを通じて避難確保計画の策定や訓練の実施を求めるとともに、防災上必要な場合は、校舎の改修を支援していくことにしています。

萩生田文部科学相「災害発生時に備えること重要」

萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、今回の調査結果について「地理的要因や地域事情により浸水想定区域等に立地することがやむを得ない場合もあると想定されるが、配慮の必要な利用施設と位置づけられた学校が3割程度だったことは、実態として受け止めている」と述べました。

そのうえで「まずは避難確保計画の作成や避難訓練の実施により、災害発生時に備えることが重要だ。文部科学省としては、計画作成に資するガイドラインを周知したところであり、各学校での速やかな作成を促進していきたい」と述べました。

各地の対策まとめた事例集公表 対策呼びかけ 文部科学省

公立学校の3割が豪雨や台風で被災のおそれがある浸水想定区域や土砂災害警戒区域に建てられていることを受け、文部科学省は8日、各地の対策をまとめた事例集を公表し、対策を呼びかけています。

8日公表された「学校施設の水害・土砂災害対策事例集」では、各地で行われている対策の事例を紹介しています。

浸水対策としては、
▽佐賀県嬉野市の中学校で、老朽化した校舎の整備の際に、建物全体の床を高くし避難経路を確保した事例や、
▽東京・大田区の小学校で、校舎や敷地内への浸水を防ぐよう止水板を設置している事例が示されています。

また、
▽栃木県栃木市の高校では、おととしの台風で1階の職員室が浸水し、保存していた重要な書類が水につかる被害が出たことから職員室を2階に配置替えしたことが紹介されています。

土砂災害への対策としては、
▽広島市の高校で、土砂の流入による建物被害を防ぐための防護壁を設置した事例や、
▽兵庫県芦屋市の中学校で、老朽化対策の際に敷地内で校舎を山側から離れた位置に移転した事例が紹介されています。

文部科学省では、全国の教育委員会などに事例集を周知して対策を呼びかけるとともに、防災上必要な場合は、校舎の改修を支援することにしています。