菅首相 五輪パラ開催 “国民の命と健康を守ることが前提条件”

菅総理大臣は、参議院決算委員会で、東京オリンピック・パラリンピックをめぐり、国民の命と健康を守ることが開催の前提条件だとして、実現に向けて感染対策に全力を挙げる考えを示す一方「前提が崩れれば、そうしたことを行わない」と述べました。

▽自民党の舞立昇治氏は、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者への支援について「債務の一部免除などの措置を講じるかどうかで、コロナ危機への国の対応として評価は大きく分かれる。何らかの救済措置を検討するなど、前向きな答弁をお願いしたい」と問いました。

これに対し、菅総理大臣は「官民の金融機関に対して、既存の融資の条件変更や返済猶予などについて柔軟に対応するよう、配慮を要請している。引き続き、事業者の声にも耳を傾けながら、事業と雇用、暮らしを支えていきたい」と述べました。
▽立憲民主党の福山幹事長は、東京オリンピック・パラリンピックをめぐり「できるかぎり、開催したいと思うが、何が何でも強硬に開催すればいいというものではない。開催を可能とする医療体制や感染者の数といった基準を示す必要がある」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「感染対策をしっかり講じて、世界から選手が安心して参加できるようにするとともに国民の命と健康を守っていく。これが開催の前提条件だ。実現できるように対策を講じていくが、前提が崩れれば、そうしたことを行わないということだ」と述べました。
▽公明党の高瀬弘美氏は、ワクチン接種について「国民が知りたいのは、今後の見通しだ。ゴールの見えないマラソンを走り続けるのはつらいが『ここを曲がればゴールが見えてくる』となれば気持ちは全然違う」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「7月末までに高齢者への接種を終えるべく、加速化を推進し、6月中旬以降、職場や大学などでの接種を開始する。接種回数は日増しに増加していて、総接種回数が毎日80万回前後増え、合計で1700万回を超えている。全力で接種に励んでいきたい」と述べました。
▽日本維新の会の柴田巧氏は台湾をめぐる問題について「今週末のG7サミット=主要7か国首脳会議の場で、台湾海峡の平和と安定の重要性をしっかりと主張するべきで、関係国にも理解と協力を得ることが大事だ」と指摘しました。

これに対し、菅総理大臣は「従来から、台湾をめぐる問題が、当事者間の直接の対話によって、平和的に解決されることを期待する方針は一貫している。議題は、議長国であるイギリスが調整中だが、わが国の一貫した立場を踏まえつつ、適切に対応していきたい」と述べました。
▽国民民主党の会派に所属する上田清司氏は個人情報の保護をめぐり「デジタル化は、大量に個人の情報などが流出する側面も持っている。内閣官房などで個人情報が流出したニュースも流れている。個人情報の保護が極めてぜい弱ではないか」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「デジタル改革を強力に進める中で、個人情報の保護が大変重要だ。今国会で、個人情報保護委員会の権限を強化し、一元的に監視・監督する法律改正が行われた。公共機関での個人情報の適切な取り扱いは、しっかり確保していきたい」と述べました。
▽共産党の小池書記局長は、東京オリンピック・パラリンピックの開催をめぐり「菅総理大臣は『命と健康を守れなければ五輪はやらない』とはっきり言った。政府の分科会の意見を求めることを、なぜやらないのか。都合の悪い意見を言われたら困るからだとしかとれない」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「政府としては、分科会については、感染拡大や感染状況について対応するところだと思っている。感染状況について、例えば、緊急事態宣言をする場合などに分科会に諮って決めているということだ」と述べました。
また、政府の分科会の尾身会長は「感染症対策を提言してきた者としては、オリンピックを開催することによって、どういうリスクがあるのかや、どう低減できるかというような選択肢も含めてやることは、われわれの責務だ」と述べました。

一方、菅総理大臣は、LGBTの人たちへの理解を促進するための法案をめぐり「議員立法で、政府としてコメントは差し控えるべきだ。自民党総裁としてあえて申し上げれば、自民党は公約として『LGBTに関する議員立法の速やかな制定を実現する』と掲げている。対応は党の執行部に一任しているが、国民の皆さんとの約束を果たすよう、党でしっかり取り組んでいく」と述べました。
このほか、萩生田文部科学大臣は、学校での集団接種について「基本的に、小中学生は集団接種を前提には考えていない。12歳以上の接種が可能だという通知が出ているが65歳まで終わったら、その次の年代や、基礎疾患のある方を優先的にやるべきで、ある自治体が『すべて終わったから、子どもたちにも打つ』というのは、やや順番が違うのではないか」と述べました。

参議院決算委員会 関連発言

自民党の二階幹事長は記者会見で、東京オリンピック・パラリンピックについて「野党はいろいろ言うだろうが、われわれは菅総理大臣の方針どおり、しっかり党をあげて協力していきたい」と述べました。
また、9日の党首討論について「日頃の考えをしっかりと述べてもらえれば、党は、いかなることがあっても菅総理大臣をしっかり支えていくので、後ろを振り向くことなく、しっかりと討論して国民の期待に応えてもらいたい」と述べました。
立憲民主党の枝野代表は、党の役員会で「東京オリンピック・パラリンピックを開催して国民の命と健康を守れるのかということについて政府は全くのゼロ回答で、何の根拠もない。何ら裏付けのない妄言を吐いているような状況だったことを大変残念に思う。開催を強行するのなら、国民がきちんと安心できるよう説明してもらわなければならず党首討論で迫っていく」と述べました。
立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「安心安全な大会の開催には医療体制や感染者数の指標などの判断基準がいるが、政府は何も答えず全くもって不誠実な答弁だった。だからこそ『専門家の分科会に諮るべきだ』と求めたが、こちらも明確な答弁はない。一方で6月20日に緊急事態宣言は解除されるのか問うと、そちらは専門家に聞くという姿勢は、ダブルスタンダードもいいところだ」と述べました。
共産党の小池書記局長は、記者会見で「自信なさげで総理大臣の答弁としては、もの足りなかった。短いフレーズで答弁し、自分のことばで語ることが全然なかった。どうしても大会を開催したいのであれば、具体的にどういうリスクがありそれをどのように克服するか語るべきだ。そういう説得力のある話はついぞ聞かれなかった」と述べました。