学校利用で高齢者接種率が全国平均の約3倍 東京 八王子市

東京 八王子市で、6日までに新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を終えた高齢者の接種率は、全国平均のおよそ3倍にあたる60%余りとなっています。

これについて市は、先月から日曜日に市内各地の小中学校を使って集団接種を始めたことが、接種の加速につながっているとみています。

八王子市は、東京都内では最も早い4月上旬からワクチンの接種が始まり、6日までに1回目の接種を終えた人は、高齢者およそ16万人の60.8%にあたる9万6000人余りとなっています。

これは全国平均のおよそ3倍にあたる接種率で、接種が始まった当初は、ワクチンが限られていたため、会場は平日の市役所などに限られていましたが、先月から、毎週日曜日に市内各地の30校ほどの小中学校を使って集団接種を実施した結果、急速な接種の広がりにつながっているということです。

担当者によりますと、日曜日の接種は、1つの学校で1000回ほど、全体で1日におよそ3万回分の接種枠が設けられていて、6日までの5日間の日曜日の接種回数は、7万1490回とこれまでの市内の接種の総数の6割近くに上っているということです。

6日もJR八王子駅に近い小学校には、雨の中、朝から多くの人が接種を受けようと、列を作る様子がみられました。

市は、早い時期に医師会や学校側とワクチン接種に向けた話し合いができたことで、協力を得やすい環境が整い、十分な打ち手や場所が確保できたことが大きいと話しています。
八王子市ワクチン接種担当の武井博英課長は「人口分布などをみながら、アクセスのよさや各エリアにまんべんなく配置することを目指し、会場を選定した。高齢者の方には、小中学生が通う地域の学校を会場にすることで、身近に感じてもらい、一定程度ワクチン接種への理解を得られたのではないかと感じている」と話していました。

そのうえで、今後については「集団接種は有効な手法だったが、それだけにこだわらず、今後は自宅への訪問など新たなプランも考えていきたい。今後は、都心で働いてからでも接種ができるよう、接種時間の後ろ倒しなど、働く世代に向けた工夫もしていきたい」と話していました。

接種受けた人「会場が近くて助かる」

6日に接種を受けたという自営業の男性は「休日であれば娘が仕事の手伝いに来ることができるので、日曜日に接種が受けられてよかったです。会場が家から近く助かります」と話していました。

また妻とともに会場を訪れた男性は「妻の勤務先の関係があるので、日曜日の接種であれば予定がやりくりしやすく助かります」と話していました。

地元の医師会副会長「いかに早く多くの人に接種できるかが大切」

八王子市のワクチン接種の状況について、八王子市医師会の鳥羽正浩副会長は「医療機関からは『かかりつけの患者に接種してあげたい』という声も聞かれたが、海外のデータを見ても、接種率が上がれば新規感染が減っていくのが明らかなので『集団接種に資源を集約して、いかに早く多くの人に接種できるかが一番大切なことだ』と訴えて理解をしてもらい、多くの医師の協力を得た」と述べました。

そのうえで鳥羽副会長は、八王子市で高齢者の接種率が上がっている現状について「早い段階から行政と医師会などで集団接種に軸を置くという方向性を固め、同時に努力できたのが大きかったと思います」と話していました。

八王子市の今後の接種スケジュールは

八王子市は、10代から60代のワクチン接種に関する具体的なスケジュールをまとめました。

それによりますと、接種の開始日は、
▼国が指定する医療費助成の対象となる難病がある人や、60歳から64歳の人は、6月27日、
▼基礎疾患のある人は、50代は7月11日、40代は7月18日、30代は8月1日、16歳から29歳までは8月8日となっています。
▼基礎疾患のない人は、50代が8月9日、40代が8月15日、16歳から39歳までは8月29日となっています。

担当者によりますと、夏の猛暑の中での接種が見込まれるため、冷房機器が設置された大学の施設などを接種会場とする方向で調整を進めているということです。