社会

空港や港の検疫所職員 ワクチン優先接種対象も完了はおよそ1割

新型コロナウイルスのワクチンの優先接種の対象になっている空港などの検疫所の職員のうち、2回の接種を終えた人はおよそ1割にとどまっていることがわかりました。専門家は、「感染リスクの高い人たちに早めに接種を行う体制を整備する必要がある」と指摘しています。
空港や港の検疫所で働く検疫官などのうち、検査や手続きの説明などで入国者と接する職員は、感染するリスクにさらされていることから、医療従事者と並んでワクチンの優先接種の対象になっています。

厚生労働省が、全国の検疫所を通じて接種状況を調べた結果、優先接種の対象として登録されているおよそ1000人の職員のうち、5月27日の時点で必要な2回の接種を終えていたのはおよそ1割でした。

接種を1回受けた職員を合わせても、全体のおよそ4割にとどまるということです。

接種は検疫所の所在地の自治体が行うことになっていて、厚生労働省は、「接種の進み具合は自治体の状況によるため、完了していない理由を一概に答えることは難しい」としています。

一方、厚生労働省の専門家会合のメンバーで、検疫所の業務に詳しい国際医療福祉大学の和田耕治教授は、「一部で高齢者を優先したという事情もあって接種の開始が少し遅れているのではないか。東京オリンピック・パラリンピックも控える中、民間の事業者も含めて検疫に関わる感染リスクの高い人たちを拾い上げ、早めに接種を行う体制を整備する必要がある」と指摘しています。

こうした中、政府は、職場での接種が始まるのに合わせて、水際対策などを担当する国家公務員に、今月中にも接種を始める方向で調整を進めています。

検疫官 「速やかに接種受けられる仕組みを」

ワクチンの接種を受けられないまま、国内の空港で検疫業務を担当している検疫官の1人が、匿名でNHKのインタビューに応じました。

この中で「日本に入国する人の中には、無症状でも検査で陽性になったり、入国後の待機期間中に発症したりする人も多く、感染リスクを抱えながら本当に神経をつかって仕事をしている。変異ウイルスなどの感染症にいちばん最初に接する立場なのに、まだワクチンを接種できていないのは非常に不安だ。自分が感染している可能性を考えると家族や友人に会うのを控えようという気持ちにもなり、終わりが見えない中でストレスや不安、疲労がたまっている」と話しています。

同様に、接種を受けられていない同僚からは「なぜまだ打てないんだ」とか、「早く打ちたい」という声が上がっているということです。

取材に応じた検疫官は、「東京オリンピック・パラリンピックが開催されることになれば、入国する人が増えて感染者と接するリスクも高まる。現場で水際対策にあたる検疫官が安心して働けるよう、希望者が速やかに接種を受けられる仕組みを作ってほしい」と訴えています。

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