日本政府が無償提供のワクチン 台湾に到着

新型コロナウイルスの感染が急拡大している台湾に対し日本政府が無償で提供したワクチンが4日午後、台湾の空港に到着しました。

ワクチンは4日午前、成田空港から航空機で運ばれ、午後、台湾の桃園国際空港に到着しました。

台湾では先月中旬から新型コロナウイルスの感染が急拡大していますが、これまでに台湾に届いたワクチンはおよそ88万回分にとどまり、蔡英文総統は中国の妨害によって海外の製薬会社からのワクチンの調達が難航していると非難していました。

今回、日本政府が無償で提供したのは、アストラゼネカのワクチン124万回分です。

蔡総統は、ワクチンの到着後にオンラインで談話を発表し「奔走してくれた台湾と日本の当局と民間の人たちに感謝します。価値観を共有し互いに支え合う台日友好の真の意味が改めて示されました」と述べました。
また陳時中 衛生福利部長は、4日の記者会見で「THANK YOU」「台日友好」などと書いたパネルを掲げました。

そして、WHO=世界保健機関などが主導する国際的な分配の枠組み「COVAXファシリティ」を通じての供給は時間がかかると指摘し、日本がCOVAXではなく直接台湾に提供したことに「とても感謝する」と述べました。

加藤官房長官「大切な友人 互いに助け合い」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「新型コロナ感染症の収束のためには、あらゆる国、地域において、安全で効果的かつ品質が保証されたワクチンへの公平なアクセスの確保が重要だと考えている」と述べました。

そのうえで「台湾は、緊密な人的往来と経済関係を有する極めて重要なパートナーで、大切な友人でもある。東日本大震災の際に大変心温まる支援をいただくなど、大規模災害などの際にお互いに助け合ってきた。今回の供与は、こうした考え方に基づいて決定したもので、台湾における感染拡大の防止に寄与することを期待している」と述べました。

一方、記者団が中国側から外交ルートで抗議などはあったのかと質問したのに対し、加藤官房長官は「少なくとも私のところには、そうした外交ルートを通じた対応があったとは承知していない。報道では『日本はワクチンを政治的に利用している』といったコメントがあったということだが、人道的立場から行っているものであり、政治的利用といった批判は全く当たらない」と述べました。

中国 台湾 蔡英文政権を強く非難

日本政府が台湾に対し、ワクチンを無償で提供したことについて、中国外務省の汪文斌報道官は、4日の記者会見で「台湾の民進党当局は、中国からのワクチンの提供をあらゆる手段で妨害し、さらに中国側がワクチンの調達を阻止していると偽っている。みずからの利益のために政治的な操作を続けている。これは台湾の同胞の命と健康を軽視し、人道主義の精神に反するものだ」と述べ、台湾の蔡英文政権を強く非難しました。