「出生率」去年1.34 5年連続で前年下回る 「出生数」は最少に

1人の女性が産む子どもの数の指標となる出生率は去年、1.34となり、5年連続で前の年を下回ったことが厚生労働省の調査でわかりました。また、去年1年間に生まれた子どもの数、「出生数」はおよそ84万人で、統計を取り始めて以降最も少なくなっていて、厚生労働省は「今後の動向を注視する必要がある」としています。

厚生労働省によりますと、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は去年、1.34となり、前の年から0.02ポイント低下しました。

出生率が前の年を下回るのは5年連続です。
都道府県別で最も高いのは、▽沖縄で1.86、次いで▽島根が1.69、▽宮崎が1.68でした。

一方、最も低いのは、▽東京で1.13、▽北海道と宮城でいずれも1.21などとなっています。

全国の出生率が最も低かったのは2005年の1.26となっています。

また、去年1年間に生まれた子どもの数、「出生数」は84万832人となり、前の年より2万4407人減って5年連続で減少し、1899年に統計を取り始めて以降最も少なくなりました。

「出生数」はことし2月に速報値が公表されていますが、4日公表された数字は外国人や海外で出産した日本人を除いているためおよそ3万人少なくなっています。

一方去年、死亡した人の数「死亡数」は137万2648人と前の年より8445人減少しました。

死亡数が前の年と比べて減少するのは、2009年以来で、インフルエンザなどで死亡した人が減ったことなどが要因です。

死亡した人から生まれた子どもの数を差し引いた減少幅は53万1816人で13年連続で過去最大を更新し、人口減少が加速しています。

さらに、去年1年間に結婚した男女の数は52万5490組となり、前の年と比べて7万3517組減少して戦後、最も少なくなりました。

1年間の減少数としては1951年以降で最も多くなりました。

厚生労働省は「妊娠から出産までの期間を考えると、去年の出生数への新型コロナウイルスの影響は一部にとどまっているとみられる。去年12月から出生数の減少率は大きくなっていて今後の動向を注視する必要がある」としています。

識者 「感染不安なくならければ妊娠控える傾向長引くか」

新型コロナウイルスの感染拡大による出生数などへの影響について研究しているニッセイ基礎研究所の岩崎敬子研究員は、ことし2月から3月にかけてインターネット上でアンケート調査をおこない、結婚している40歳以下の男女769人から回答を得ました。

それによりますと、「一時的にコロナ禍で妊娠を控えたいと思った」と回答したのは10.3%でした。

男性は7.9%、女性は14%となっています。

子どもを望んでいる人でみると18.7%に上ると推計されるということです。

「一時的にコロナ禍で妊娠を控えたいと思った」と回答した人にその理由を複数回答で聞いたところ▽「感染の親子への影響の不安」が最も多く49%、▽「子育てへの経済的な不安」が37%、▽「ワクチンの親子への影響の不安」が35%でした。

さらに分析を進めたところ、新型コロナウイルスの影響で▽家事や育児の負担が増えた女性や▽仕事が減った男性に、将来的に望む子どもの数を減らしたいと考える傾向がみられたということです。

岩崎研究員は、「感染への不安がなくならければ妊娠を控える傾向が長く続く可能性がある。コロナ禍をきっかけに家事や育児の負担状況を改めて考える機会をもつことや子育てへの不安に対し社会のサポート体制を整えることが、今後の少子化対策にとって重要だ」と指摘しています。

官房長官「総合的な少子化対策を推進したい」

加藤官房長官は4日午後の記者会見で「少子化は、わが国の社会経済の根幹を揺るがしかねない問題で、最優先で取り組むべき課題の一つであり、引き続きしっかりとした対策を講じていく必要がある。政府としては、不妊治療への支援や保育の受け皿整備、男性の育児休業取得促進など、総合的な少子化対策を推進していきたいと考えている。今後、妊娠、出産、子育ての不安の解消などにしっかりと取り組み、子どもを安心して産み育てることができる環境をしっかり作っていきたい」と述べました。

一方、加藤官房長官は「死亡者数の減少など、例年と異なる結果となっているが、新型コロナウイルス感染症の影響をどの程度受けているのかなど、調査から直ちに判断することは困難だと聞いている」と述べました。