ワクチン接種記録システム“VRS” 大阪市などで利用進まず

ワクチン接種を円滑に進めるため国が新たに導入した接種記録を個人単位で管理するシステムが、大阪市など府内の一部の自治体で十分に利用されていないことが分かりました。国は接種の全体像の把握が難しくなって接種計画に支障が出るおそれもあり、協力を求めたいとしています。

「VRS」と呼ばれるこのシステムは接種券に印刷された18桁の数字を専用のタブレット端末で読み取ると、誰が、いつ、どこでどのワクチンを接種したかその場で登録できます。

国は自治体や医療機関に対し専用端末の配布を進めていて、接種の状況を全国規模で素早く把握できるとしています。

しかし、大阪府内の政令指定都市と中核市合わせて9つの自治体に取材したところ、大阪市や吹田市、高槻市の3市でシステムの利用が進んでいないことが分かりました。

このうち、吹田市では集団接種と個別接種ともに接種の記録が一切、登録されていないということです。

「人手が足りず、対応する余裕がない」としています。

また、大阪市では個別接種を行うおよそ1500の医療機関のうち90%余りがシステムの利用を希望せず、端末そのものが配布されていないということです。

システムを開発した内閣官房IT総合戦略室は「このままでは接種の全体像の把握が難しくなり、接種計画に支障が出るおそれもある。自治体には速やかに利用するよう協力を求めたい」と話しています。

加藤官房長官「事務効率化にもつながる 協力を」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「ワクチン接種記録システム、VRSについては、高齢者接種の開始に合わせ運用をスタートし、きのうまでの累計で750万件以上の接種記録の入力がなされている。このシステムは予防接種台帳を兼ねることも可能であり、予診票の情報を予防接種台帳に入力する作業が不要となるなど、自治体における事務の効率化にもつながると考えている」と述べました。

そのうえで「引き続き、自治体や医療現場に対しても、こうした仕組みが効率化や適切な管理にもつながっていくことの理解や、協力をいただけるよう取り組んでいきたい」と述べました。