鶏卵大手から働きかけ “政策影響ないが透明性を” 第三者委

吉川貴盛元農林水産大臣が在任中に大手鶏卵生産会社の元代表から賄賂を受け取ったとして在宅起訴された事件を受けて、当時の政策を検証してきた第三者委員会が3日、報告書をまとめました。元代表からの「働きかけ」で政策がゆがめられた事実は認められなかったものの行政の意思決定過程の透明性を高めることが重要だと指摘しました。

農林水産省では、大手鶏卵生産会社の元代表から現金を受け取ったとして吉川元大臣が収賄の罪で在宅起訴されたほか、今の事務次官ら6人の幹部も飲食の接待を受けていたことが明らかになり、弁護士や大学の教授などでつくる第三者委員会が当時の政策への影響を検証し、3日、その報告書を野上大臣に提出しました。

それによりますと、元代表から農林水産省側に▽「アニマルウェルフェア」と呼ばれる動物福祉の観点で国際機関が策定した家畜の飼育環境の基準案に農林水産省として反対することや▽政府系金融機関の日本政策金融公庫が養鶏業者への融資を拡大するよう指導してほしいといった要望はあったものの、こうした「働きかけ」によって政策がゆがめられた事実は認められなかったとしました。

一方、幹部らが受けた接待の場では元代表から政策への働きかけは認められなかったとしました。

ただ、農林水産省の担当者が元代表と公庫の役員との面会の場を設けるなど元代表への「手厚い対応」が取られ、行政の不透明さが認められると指摘しています。

そのうえで報告書は、養鶏・鶏卵行政が政治や業者からの「働きかけ」を受けやすい構造にあるとして国民からの信頼を得るためには職員の対応を記録・保管し、問題が起きた場合に速やかに検証できるシステムを取り入れるなどして行政の透明性を高めていくことが重要だと指摘しました。

第三者委員会「意識して気をつけるべき」

報告書を提出したあと、第三者委員会の座長を務めた井上宏弁護士が記者会見を開き「農林水産省には多額の補助金があり、受け取る事業者と政治家と農林水産省がまとまると悪いトライアングルになるので、そのあたりは意識して気をつけるべきだ。あとから見て、国民からおかしいと思われた時に経緯がわかれば疑念は解消されるので、記録を残しておくことが大切だ。農林水産省全体で点検して対策を実行してほしい」と述べました。

農相「直ちに改善策を検討し実行を」

第三者委員会からの報告書が提出されたことを受けて、野上農林水産大臣も記者会見を開き「国民からの信頼を得ていくためには課題があるという指摘と提言をいただいた。これらを真摯(しんし)に受け止め、直ちに改善策を検討し、実行してきたい」と述べました。

また、農林水産省が行った追加の調査結果について、野上大臣は「利害関係者の負担で飲食したことが疑われる会食は確認されなかったが、二度と国民に疑念を持たれることがないよう私が先頭に立ち、農林水産省一丸となって公正な行政を遂行したい」と述べました。

会食についての調査結果も公表

農林水産省は、吉川元大臣の在任期間に限らず、歴代の畜産部の室長級以上の職員や第三者委員会の調査の対象となっていた事業に関係する課長補佐級以上の職員、合わせて150人を対象に畜産関係者との会食について追加の調査結果を公表しました。

それによりますと、合わせて265回の会食が行われましたが、利害関係者が負担したと疑われる飲食や、出席した政治家や利害関係者から政策についての働きかけは確認されなかったとしています。

一方、同席した政治家が負担したと見られる会食が5件あり、1件は、必要な届け出が出されていなかったいうことで農林水産省は、国家公務員倫理審査会と相談しながらしかるべき対応を取るとしています。