厚労省専門家会合 重症者数など減も「人出増 再拡大の可能性」

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染状況について、先月中旬以降感染者数の減少が続き、重症者数も減少が見られるとした一方で「各地で人出の増加が見られ、感染の再拡大の可能性も考えられる」と指摘しました。沖縄県では若い世代を中心に感染者数の急増が続き、感染状況は「過去に例のない非常に高い水準」になっていて、今後、高齢者に波及することで、さらに重症者の増加が懸念されるとしています。

専門家会合では、東京都や大阪府などの現在の感染や医療体制の状況や、感染状況が深刻な沖縄県の状況などについて分析が行われました。

全国の感染状況について

全国の感染状況について、先月中旬以降、減少傾向となっている一方、直近では各地で人出の増加が見られ、今後、感染の再拡大=リバウンドの可能性もあると警告しています。

また、重症者数は減少が見られ、亡くなる人の数は多い状態が続いているとしています。

緊急事態宣言が出されている地域のうち、特に沖縄県については、20代から30代の若い世代を中心に感染者数の急増が続き、感染状況は「過去に例のない非常に高い水準」になっている中で、増加傾向が続くおそれがあり、今後、高齢者に波及することで、さらに重症者の増加が懸念されるとしています。

医療体制について

医療体制については、病床使用率の高い水準が続き、自宅療養者や入院調整中の患者が増えていて、容体が急変したときへの備えを含めて対応が必要だとしています。

北海道については、感染者数が先月下旬以降、減少に転じているものの、非常に高い水準で、病院や福祉施設でのクラスターも引き続き発生しているとして、拡大させないための対応を求めました。

関西については、今後も減少が続くことが見込まれ、大阪府では重症者数が減少している一方、兵庫県では十分減らず、医療体制の厳しい状況が継続していると指摘しています。

首都圏の東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県については、関西と比べると感染者数が多い水準で、減少するスピードが遅く、東京都と神奈川県では重症者も明らかな減少傾向にはないとしています。

人出について

さらに東京都では、夜間、昼間ともに明らかに人出が増加していて、特に夜間の人出についてはことし3月のレベルに近づきつつあり、このまま増加傾向が続くとリバウンドのおそれがあるとして警戒を呼びかけています。

専門家会合は、緊急事態宣言中でも人出が増加傾向に転じた地域があるため、感染者数が下げ止まる可能性があるとして、再拡大を防ぐため、できるだけ新規感染者数を下げることや、下げ止まった場合も増えないよう抑える対策を続けることが求められるとしています。

変異ウイルスについて

変異ウイルスについて専門家会合は、WHOが推奨している呼称を使って説明し、一部の地域を除いて感染力の強いイギリスで見つかった変異ウイルス「アルファ株」におおむね置き換わったと推定されるため、別の新たな変異ウイルスへの対応を強化し、特にインドで広がる変異ウイルス「デルタ株」について、地域での検査を強化し、感染経路を調べる調査を行うなどして、感染拡大を可能なかぎり抑える必要があると指摘しました。

田村厚労相「沖縄は非常に高い水準 東京も警戒必要」

田村厚生労働大臣は、専門家会合の冒頭「新規感染者数は全国的に減少傾向だが、一部で増加が続いている地域もある。特に沖縄は過去に例を見ないような非常に高い水準で推移している。東京は、大阪に比べると人流が若干増えてきていて、リバウンドの可能性があるので警戒が必要だ」と述べました。

また、ワクチンの接種について「高齢者へのワクチン接種のめどが立てば、各自治体は、次に向かって準備を進めてもらうことになる。今月21日からは職場などでの接種も始めることになり、ダブルトラックで走って、接種のスピードを加速させたい」と述べました。

沖縄県の状況は

沖縄県では、10万人当たりの1週間の感染者数が125人を超えるなど、これまでに感染拡大を経験したどの都道府県よりも人口当たりの感染者数が多い状態が続いています。

沖縄県では大型連休明けに急速に感染が拡大し、大型連休で県外から多くの人が訪れたことが影響したとみられています。

沖縄県では、4月12日からまん延防止等重点措置が適用されていましたが、厚生労働省の専門家会合に出された繁華街の人出に関する資料によりますと、大型連休後の先月中旬以降、那覇市などで夜間に繁華街にいる人が十分には減らず、昼間の人出は増加に転じました。

緊急事態宣言が出された先月23日以降は夜間も昼間も人出は減少傾向となっていますが感染の減少にはまだ至っておらず、活動が活発な20代や30代の若い世代を中心にした感染が続いています。

専門家は最近では那覇市以外の地域にも感染が広がっているほか、重症化しやすい高齢者への感染拡大が懸念されると指摘しています。

脇田座長会見 五輪の開催などについて

専門家会合のあとの記者会見で、脇田隆字座長は、現在出されている緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除の見通しについて「地域によってスピードに違いはあるが、いずれの地域も感染状況が改善していて、きょうの議論の中では緊急事態宣言や重点措置の効果が出ているということだった。期限となっている今月13日、もしくは20日に解除できるのか、今後議論することになるが、リバウンドを防ぐためにも、感染者数の減少傾向が続くかをしっかり見て、なるべく減少させることが重要だ」と話していました。

また、インドで最初に確認された変異ウイルスなど新たな変異ウイルスへの対策については「新たな変異ウイルスは海外からだけでなく、国内から出てくる可能性もある。今後も遺伝子のサーベイランスをしっかりやって、新たな変異ウイルスが見つかれば、封じ込めていくことが重要だ。インド株についてはPCR検査を使ったスクリーニングが試験的に始まっている。いずれはインド株に置き換わっていく可能性はあるが、陽性者が出れば封じ込めて、なるべく抑えることが重要だ」と話していました。

東京オリンピックの開催について脇田座長は「きょうの専門家会合では、東京オリンピックについて多くの出席者から国内の感染状況へのリスクをしっかり評価するべきだという意見が出た。これまでも専門家はさまざまなリスクを評価して国に助言してきた。オリンピックの選手や関係者の『バブル』の中のことではなく、こうした大きなイベントが行われれば、国内の感染状況にどういった影響があるかしっかりリスク評価が行われるべきで、それに基づいて必要な対策がとられるべきだ」と話していました。