イギリスのTPP加入手続き開始決定 参加11か国の閣僚級会合

TPP=環太平洋パートナーシップ協定をめぐり、日本を含め参加する11か国の閣僚級会合がオンラインで開かれ、イギリスの加入に向けた手続きを開始することを決めました。

TPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入をイギリスが申請していることから参加する11か国の閣僚らはオンラインで会合を開き対応を協議しました。

冒頭、議長を務める西村経済再生担当大臣は「新型コロナウイルスの影響で、世界経済は低迷し内向き志向が高まったが、TPPはポスト・コロナの経済を、より強じんで持続可能かつ包括的なものに変えていくために極めて重要な役割を果たすと確信しており、イギリスの加入の要請で新たな章に入ろうとしている」と述べました。

会合では、TPP前進の機会になるとして、イギリスの加入に向けた手続きを開始することや、交渉を行うための作業部会を設置することを決めました。
このあと西村大臣は記者会見し「グローバルな戦略パートナーで、重要な貿易投資相手国のイギリスが加わることになれば、TPPを通じて自由で公正な経済秩序を構築できるし日英の経済関係の強化という戦略的な観点からも、大きな意義がある」と述べました。

2018年に11か国で発効して以来 新規加入に向けた手続きは初

TPP=環太平洋パートナーシップ協定が、2018年に発効して以来、新たな国が加入に向けた手続きに入るのはイギリスが初めてです。

TPPは、日本のほか、オーストラリアやカナダなどアジア太平洋地域の11か国による経済連携協定で2018年時点で世界全体のGDPの13%、貿易額の15%、人口5億人をカバーしています。

日本が輸入する農産品や工業品などのうち品目数ベースでおよそ95%、輸出品では100%近くで関税が即時、または段階的に撤廃され、日本がこれまで結んだ自由貿易協定の中で最も高い水準となります。

一方日本は、イギリスとの間でEPA=経済連携協定がことし発効していて、イギリスがTPPに加入したとしても日本経済への直接的な影響は、限定的と見られます。

ただ日本政府としては6000万人以上の人口を抱え、フランスとならぶヨーロッパの経済国であるイギリスがTPPに加入すれば、高いレベルでの貿易や投資のルールをアジア太平洋を越えて広げる一歩になると期待しています。

英が加入目指す背景には「グローバル・ブリテン」戦略

「太平洋」から遠く離れたイギリス。

そのイギリスがTPPへの加入を申請する背景にあるのが、去年1月のEU=ヨーロッパ連合からの離脱を受け、EU以外の国と地域ともつながりを深めて経済成長を図ることを盛り込んだ「グローバル・ブリテン」という戦略です。

この中で特に巨大な人口を抱え、市場の成長力がある日本を含むアジア太平洋地域をその柱に位置づけています。

この地域の自由貿易圏であるTPPに加入すれば▽自動車や食品などの輸出の促進や▽イギリスが強みとするデジタル分野のビジネスチャンス拡大を期待できるとしています。

英 国際貿易相 “TPP加入はイギリスにとって大きなチャンス”

イギリスのトラス国際貿易相は「TPP加入はイギリスにとって大きなチャンスになる。イギリス経済の重心をヨーロッパから急速に成長している地域にシフトさせ、アジア太平洋の巨大な市場へのアクセスを強めることにつながる」とするコメントを発表しました。
さらにトラス国際貿易相はツイッターに日本やイギリスなどの国旗を並べ「ダイナミックな自由貿易圏への加入手続き開始が決まったことはすばらしいニュースだ。交渉開始に先立って議会に加入に関する計画を示したい」と投稿しました。

TPPめぐる世界の現状は

TPPをめぐっては中国や韓国も参加への意欲を示していますが、日本政府は、中国については、TPPでは原則として認められていない国有企業への優遇措置などを改める必要があるとしているほか、韓国についても、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、日本産食品の輸入規制を続けていることなどを念頭に加入に対して慎重な姿勢です。

アメリカは“早期復帰には慎重姿勢”

またトランプ政権時代に離脱したアメリカは、TPPなど自由貿易協定への参加には慎重な姿勢とされています。
ことし1月22日、ホワイトハウスのサキ報道官はTPPへの復帰について「バイデン大統領はTPPは不完全であり、改善する必要があると考えている」としたうえで「今後数か月、力を入れるのは経済であり、アメリカの中間層のために全力を尽くすことだ」と述べ当面は国内の経済対策に力を入れるとして早期の復帰には慎重な姿勢を示しています。