コーヒーのフェアトレード

コーヒーのフェアトレード
コーヒー好きの人は産地にこだわることもあるのでは?コーヒーの生産国と消費国の関係について考えます。

主産地は「コーヒーベルト」

こちらはコーヒーの主な産地です。
赤道を挟んだ「コーヒーベルト」と呼ばれる地域で、いわゆる開発途上国や新興国が多いです。
このコーヒーのような、開発途上国の生産物についての入試問題があります。

問題に挑戦!

問題
開発途上国の生産物を、その生産者の生活を支援するため、適正な価格で継続的に購入する取引のことを何といいますか。次のア~エの中から1つ選び、記号で答えなさい。

ア ステルスマーケティング
イ トレードオフ
ウ フェアトレード
エ フリーマーケット

(聖光学院中学校 2019年)
これは聞いたことがあるかもしれません。
正解は「ウ フェアトレード」です。
「フェアトレード」は、開発途上国で生産された農産物や製品を、品質などに見合った適正な価格で購入し、生産者や労働者の自立を支援しようという取り組みです。
コーヒーを通して、フェアトレードについて考えてみましょう。

農家を苦しめる「乱高下」

コーヒーは、実は多くが、原油や金などと同様にニューヨークなどの先物市場で取り引きされています。
コーヒーの国際価格の推移です。乱高下を繰り返していますよね。
原因は天候だけでなく、投機マネーなどもあるといいます。
例えば1997年は、投機マネーの影響で価格が高騰したとみられています。生産量は増えましたが、その後、価格は急落。2001年には1997年のおよそ4分の1に落ち込み、生産者に大きな影響を及ぼしたといいます。
コーヒー栽培を生かした貧困対策に詳しい、東京大学教授の池本幸生さんに話を聞きました。価格が一度高騰したものが大きく下がると、現地の農家にはどんな混乱が起きるのでしょうか。
池本さん
「価格が下がってしまうともうからないので、例えば、農薬を使うとか肥料を買うとか、そういうことをしなくなります。手入れをしないので、枝が伸び放題で、草ぼうぼうになったり。さらに借金が返せなくなってしまった人たちも逃げていって、畑を放棄するということも起きました」
そこで、国際価格に翻弄されず、生産者の生活を守るために注目されたのが、フェアトレードです。
フェアトレードでは、NGOや販売会社などが生産者と直接取り引きを行うことが多いです。

「ケシをコーヒーに」プロジェクトも

タイでは1988年、王室の財団が、麻薬の原料となるケシを栽培していた少数民族の人たちに対して、プロジェクトを始めました。
まず、森林を再生したうえでコーヒーを植樹。
そして、品質を上げるために技術者を招き、木を植える間隔やせんていの方法などを教えました。
完熟した豆だけを手で摘むなど、品質の良いコーヒー作りに取り組みました。
取り組みを始めて30年余り。
品質が評価され、今では日本やヨーロッパなどでフェアトレードで取り引きされるようになりました。
販売価格はドリップコーヒーで1杯100円のものもあり、生産者が生活するのに十分な収入になっていると池本さんは言います。

やっぱり丁寧に品質のよい物を育てれば、価格に反映されますよね。できれば安くておいしいものが飲みたい、という気持ちもありますが…
池本さん
「いいものなのに安く買うというのは、フェアではないと思います。ちょっと手間はかかるけど、自分でお湯を沸かしてドリップすると、はるかにおいしく飲めるわけです。だから(消費者にとって)100円というのはそんなに高い物ではないと思います」

生活を変えた「フェアトレード」

タイでの財団のプロジェクトでは1万人を超える農家が恩恵を受け、ケシなどを栽培していた土地は、森とコーヒー畑に生まれ変わりました。
適正な価格の実現に加えて、生産者の生活に大きな変化をもたらしたと言います。
池本さん
「(麻薬になる)ケシを植えるということは、反社会的行為。ケシを植えているときは、逃げていなければならなかったけど、コーヒーを植えると、堂々と社会に出て行ける。公共的な医療も受けられるし、子どもは学校に行ける。収入だけの問題ではないんです」
生産者の生活そのものを支えたり変えたりすることも可能なんですね。
では私たちは、コーヒーを飲むときに、どう選んだらいいのでしょうか。
池本さん
「『自分が、どんなコーヒーを飲んでいるんだろうか』ということを考えてほしいです。どういう形で栽培しているのか、農民の暮らしはどうなんだろうとか。例えば、環境を破壊しているようなコーヒーが本当においしいかというと、おいしいと思えないと思います。単に物として飲むのではなく、『背景の人や環境まで含めておいしい』と思ってほしいです」
フェアトレードで扱われる生産物にはコーヒーのほか、カカオやバナナ、切り花などもあります。

製品を選ぶときに「どこで、どんな環境で作られているんだろう」と考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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