政治

菅首相 ワクチン分配国際的枠組みに 新たに8億ドル拠出を表明

新型コロナウイルス対策をめぐり、菅総理大臣は、日本が国際団体と共催する首脳級会合「ワクチンサミット」で、ワクチンを分配する国際的枠組みに、新たに8億ドルを拠出し、合わせて10億ドルの貢献を行うことを表明しました。
「ワクチンサミット」は、ワクチンへの公平なアクセスを確保するため、必要な資金を調達できるよう、日本と途上国でのワクチンの普及に取り組む国際団体「Gaviワクチンアライアンス」が共催し、2日夜、オンライン形式で開かれました。

サミットには、菅総理大臣やアメリカのハリス副大統領のほか、国連のグテーレス事務総長や、マイクロソフトの創業者で、みずからの寄付をもとに設立した慈善団体を拠点に貧困対策や難病の撲滅などに取り組んでいるビル・ゲイツ氏らが参加しました。

この中で、菅総理大臣は「ワクチンへのアクセスが、国の置かれた状況や経済力によって左右されることは断じて許されない」と述べ、ワクチンを分配する国際的枠組み「COVAXファシリティ」のもとで、120を超える国と地域に、合わせて7600万回分以上のワクチンが供給されていると説明しました。

そのうえで「われわれが直面する危機を乗り越えていくためには、さらなる連帯とコミットメントが求められる。わが国は、安全で効果的なワクチンを公平に、より多くの人々に届けることを全面的に支援していく。ことし中に18億回分、途上国の人口30%分のワクチンを確保する目標を達成するため、皆さんとともに力強い一歩を踏み出したい」と述べました。

そして菅総理大臣は、ワクチンを分配する国際的枠組みに新たに8億ドルを拠出し、すでに拠出した額と合わせて10億ドルの貢献を行うとしたうえで「変異株の拡大やワクチン供給の遅れといった厳しい現状を踏まえ、環境が整えば、しかるべき時期に、わが国で製造するワクチンを3000万回分をメドとして、COVAXなどを通じ、各国・地域に対して供給を行っていく考えだ」と表明しました。

このあと、ほかの国などからも支援が表明され、菅総理大臣は会合の締めくくりに、途上国の人口の少なくとも30%分を確保するために目標としていた83億ドルを大きく超える額が確保できたと明らかにしました。
菅総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「大きな目標を達成できた。引き続き、ワクチンへの公平なアクセスが世界の中でできるように、政府としてもしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。

国連事務総長「接種されたワクチンの75%は10か国に」

ワクチンサミットに寄せたビデオメッセージの中で、国連のグテーレス事務総長は、ワクチン格差について「接種された新型コロナウイルスのワクチンの75%は10か国に占められている。貧しい国では医療従事者や病気を抱えている人々にさえ届いていない」と指摘しました。

一方で、ワクチンを公平分配する国際的な枠組み「COVAXファシリティ」は、これまでに7200万回分のワクチンを125か国に分配してきたと説明しました。

そのうえで「あと16億ドルの資金があれば18億回分のワクチンを中低所得国に分配できる」と述べて、国際社会によるさらなる資金支援が必要だと訴えました。

米副大統領「世界中で接種進むよう協力」

ワクチンサミットで演説したアメリカのハリス副大統領は「世界的な感染拡大で明らかになったのは、世界が相互に結びつき、依存し、ぜい弱だということだ。私たちの将来は、世界的な危機に私たちがどのように立ち向かうかにかかっている」と述べました。

そのうえで「今も新型コロナウイルスの感染が続き、人々が日々、命の危険にさらされている。だからこそ、世界中の国々でワクチン接種ができるだけ早く進むよう、協力しなければならない」と強調し、各国に世界的なワクチンの公平な分配への協力を加速させるよう呼びかけました。

国際団体「ワクチン分け合い 深刻なフェーズに終止符」

ワクチンサミットの中で「Gaviワクチンアライアンス」のバローゾ理事会議長は、これまでに「COVAXファシリティ」を通じて126の国と地域にワクチンの分配を始めたものの、全体の計画の一部にすぎないとして、分配の遅れに危機感を示しました。

そのうえで、バローゾ理事会議長は「余っているワクチンを分け合うことで、来年の早い時期までにはパンデミックの深刻なフェーズに、世界的に終止符を打てるだろう」と述べ、途上国の医療従事者や高齢者などへの接種を加速できるよう各国に協力を求めました。

世界と日本のワクチンめぐる支援は

ワクチンを分配する国際的枠組みの「COVAXファシリティ」は、ことし中に途上国の人口の30%にあたる18億回分のワクチンを供給する目標を掲げていて、必要な資金は83億ドルとされています。

日本は去年9月、この枠組みへの参加をいち早く表明して、世界初の拠出国となり、これまでに2億ドルを拠出しています。

各国の拠出額はことし5月30日時点で、
▼最も多いアメリカが25億ドル、
▼2位のドイツが9億ドル余り、
▼3位のイギリスが7億ドル余りなどとなっていますが、
すべての国や地域を合わせても70億ドルと、目標には届いていませんでした。

こうした中で、日本が新たに8億ドルを追加で拠出することになり、これまでと合わせた拠出額は10億ドルとなります。

不足していた分のかなりの部分を補えるうえ、合計の拠出額も世界有数の規模となります。

ワクチンをめぐっては、中国やロシアが自国企業による開発を推進し、幅広い地域に自国製の製品を配布する独自の「ワクチン外交」を展開していますが、日本政府は今後も国際的な枠組みを通じて支援を続けていく考えです。

このほか日本は「コールドチェーン」と呼ばれる低温での輸送網を途上国に整備する支援にも取り組んでいて、東南アジアやアフリカなどの国々に合わせて87億円を拠出して、ワクチンの保冷設備の購入などに充ててもらっています。

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