ワクチン接種 21日から職場や大学で 企業は準備を本格化

新型コロナウイルスのワクチン接種について、政府が6月21日から職場などでの接種を始める方針を示したことを受けて、企業の間では早速準備を本格化させる動きが出ています。

会議室を接種会場に

このうち生命保険大手の住友生命は、東京と大阪の2か所を従業員向けの接種会場にする準備を進めています。

東京本社では当初、大学生らの採用面接で使う予定だった会議室を接種の会場にする計画で、担当者が早速レイアウトの案を作成していました。
会社では問診を行う医師や接種する看護師を確保したうえで東京、大阪でそれぞれ4000人程度に接種できる態勢を整えたいとしていて、具体的な運用を検討しています。
住友生命の川口謙誠執行役員兼人事部長は「ワクチンの確保がいちばんの課題だが、行政とも協議しながら対応していく」と話しています。

このほか、富士通が東京都や神奈川県のオフィスで働く従業員を対象にワクチン接種の実施を検討していて、現在、対象となる従業員の数や態勢の確認を進めているほか、ソニーグループもまずは社内の産業医などで対応できる態勢を前提に計画を立て、準備を進めるということです。

さらに、トヨタ自動車やソフトバンクグループ、楽天グループ、それにメルカリも実施を検討しています。

一方、会議室などのレンタル事業を手がける「ティーケーピー」は、職域接種の会場として利用してもらおうと、会議室を無償で貸し出す取り組みを始めます。

自社の診療所や大きな会議室を持たない中小企業向けに、合同の接種会場として貸し出すことを想定しているということです。

官房長官「21日から職場や大学で接種可能に」

新型コロナウイルスのワクチン接種について、加藤官房長官は1日、記者会見で、今月21日から職場や大学などでの接種を始める方針を明らかにしました。

接種にあたってはモデルナのワクチンを使用し、接種の担い手や会場は、自治体が行う高齢者への接種に影響を与えないよう、各企業や大学などで確保するよう求めると説明しました。
さらに中小企業が商工会議所などを通じて共同で実施することや、下請け企業などの取り引き先も接種対象に加えること、それに大学などが学生も対象に含めて接種を行うことを可能にする考えを示しました。

そして職場や大学などでの接種を行う際に、高齢者や基礎疾患のある人が優先的に接種を受けられるよう求めていくと強調しました。
加藤官房長官は「企業での接種で従業員の家族を対象とすることは十分あり得る。非正規で働く人やアルバイトを接種対象とするかどうかはそれぞれの主体で判断してもらいたい。政府は、かなりのモデルナワクチンを持っており、企業をしゅん別しなくても、要望があれば発送していくことは可能だ」と述べました。