WHO 変異ウイルス呼称「アルファ」などを 特定国への差別防ぐ

WHO=世界保健機関は、変異した新型コロナウイルスについて、特定の国への差別的な扱いを防ぐため、新たに定めた「アルファ」や「ベータ」といったギリシャ文字による呼称を使うよう、各国の政府などに奨励しました。

WHOは5月31日に、これまでに確認されている変異した新型コロナウイルスのうち、主なものについて新たにギリシャ文字による呼称を発表しました。

このうち「懸念される変異株」に指定されているものは、
▽イギリスで確認された変異ウイルスは「アルファ」
▽南アフリカで確認されたものは「ベータ」
▽ブラジルで確認されたものは「ガンマ」
▽インドで確認されたものは「デルタ」としています。

こうした新たな呼称を決めたことについて、WHOは「特定の地名を用いることは、汚名を着せ、差別的になる。これを避けるため、各国当局やメディアなどには新たな呼称を使うよう奨励する」として、特定の国や国民への差別的な扱いを防ぐためだと説明しています。

WHOは「B.1.1.7」などの専門的な名称も、研究者たちの間で使われ続けるとする一方、一般の人たちは覚えにくいと指摘しています。

新型コロナウイルスの呼称をめぐっては、アメリカのトランプ前大統領が「中国ウイルス」と呼び続けたことに中国が激しく反発したほか、アメリカのアジア系住民に対する暴力や差別を誘発したという批判が高まりました。

加藤官房長官「順次新しい呼称に切り替え」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「厚生労働省で検討した結果、政府としては、WHO=世界保健機関の見解を踏まえ、今後はイギリスで最初に検出された変異株を『アルファ株』、インドで最初に検出された変異株を『デルタ株』などの呼称を用いることとし、順次、新しい呼称に切り替えていきたい」と述べました。