“宣言”延長の東京や大阪 再び人出増加に警戒強める 政府

9つの都道府県の緊急事態宣言は、1日から延長の期間に入りましたが、東京や大阪では、再び人の流れが増え始めているため政府は警戒を強めています。
一方、政府は、高齢者以外の接種も加速させるため、6月中旬から下旬にかけて、職場や大学でも、ワクチン接種を始めたい考えです。

新型コロナウイルス対策として東京や大阪、それに愛知など9都道府県に出されている緊急事態宣言は、1日から延長の期間に入り、沖縄への宣言と同じ今月20日が期限となります。

また、埼玉、千葉、神奈川などの「まん延防止等重点措置」も今月20日まで延長されました。

東京オリンピックの開幕を7月に控え、政府は早期に感染を抑え込みたい考えですが、東京や大阪を中心に再び人の流れが増え始めているため、警戒を強めています。

一方、ワクチン接種をめぐっては、政府が東京と大阪に設置した大規模接種センターで、5月31日から対象地域が拡大され、一日に接種できる高齢者の人数も2つの会場を合わせて、1万5000人になりました。

また、高齢者以外の接種も加速させるため、菅総理大臣は31日、梶山経済産業大臣や萩生田文部科学大臣らと対応を協議しました。

政府としては、6月中旬から下旬にかけて、職場や大学でも、ワクチン接種を始めたい考えです。

職場での接種では、産業医をはじめとする接種の担い手や会場は企業側に確保してもらい、従業員だけでなく家族も対象に加えモデルナのワクチンを活用する方針です。

加藤官房長官「感染抑止や医療提供体制ひっ迫解消図る」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「引き続き、事業者や国民にいろいろと不便をおかけするが協力をいただいて、感染の抑止や医療提供体制のひっ迫の解消をしっかりと図っていきたい」と述べました。

そのうえで、記者団から「安定的にステージ3の状況が続けば、宣言解除の前倒しを検討するか」と問われたのに対し「それぞれの地域の感染状況や医療提供体制、人流の動きを見ながら、基本的対処方針にのっとって判断していきたい。専門家の意見や各地方自治体ともよく連携をはかりながら判断したい」と述べました。

田村厚労相「感染収まる方向も、まだ不十分」

田村厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し「一定程度感染が収まる方向には動き出しつつあるが、まだ十分ではない。緊急事態宣言を延長して『ステージ2』に近づく形で、さらに新規感染者の数を減らしていかなければならない」と述べました。

また、東京都などが、休業を要請してきたデパートなどへの措置を緩和することについて「一定の人の動きがあると、感染が広がる可能性もあるが、そこはそういうご判断だ。政府の基本的対処方針でもそういう方向であり、それにのっとって対応していただくので尊重したい」と述べました。

一方、東京オリンピック・パラリンピックの期間中、東京都内で行われる予定になっているパブリックビューイングについて「大会開催中の感染や病床の状況なども踏まえて、専門家のアドバイスをもとに判断されることだと思う。われわれはその判断をしっかりと見ていきたい」と述べました。

河野規制改革相「ワクチン行き渡るように」

河野規制改革担当大臣は記者会見で、今月21日からの2週間に各都道府県へ配送するファイザーのワクチンについて、高齢者の接種率が高い、和歌山、山口、鳥取、佐賀、高知の上位5県に希望どおり供給し、それ以外は人口などに応じて調整し、配分する考えを示しました。

そのうえで「個別接種でスピードを上げている自治体が困ることがないよう、しっかり行き渡るようにしていきたい」と説明しました。

そして、そのあとのワクチンの配分方法については、基礎疾患がある人を含めた一般の人への接種も始まることを踏まえ、12歳から64歳までの人口に応じて決めていくことになるという見通しを示しました。