「リモートワーク難しい」宣言延長 出勤7割削減呼びかけの広島

緊急事態宣言の延長が決まって31日が初めての平日です。広島県は出勤する人の7割削減などを求めていますが、31日朝、JR広島駅を利用する通勤客を取材すると、在宅勤務を行うのは難しいという声が聞かれました。

緊急事態宣言の延長を受けて湯崎知事は、土日の人出は商業施設の休業などの協力があり60%余り減っているものの、平日の人出は37%の削減にとどまっているとして、県民や事業者に対して、改めて外出機会の半減や出勤する人の7割削減を呼びかけました。

31日朝のJR広島駅ではマスク姿の通勤客らが職場に向かう姿や、バスや路面電車を待つ人の列が見られました。

このうち、保育園に勤務する50代の女性は「給食を作っているので、リモートワークは難しい。通勤に使っている電車は満員で、通勤客が減っているという印象はありません」と話していました。

会社員の20代の男性は「機密情報を扱う仕事で、情報漏えいなどのリスクがありリモートワークはできない。会社のほかの部署では出社する人数を減らすなどの対策を取っています」と話していました。

また、会社員の60代の男性は「これまで何度かリモートワークをしたが、業務に必要な書類が会社にあって効率が上がらず、現在は出社しています」と話していました。

広島県によりますと、先週金曜日のJR広島駅前の人出は、感染が拡大する前の去年1月下旬と比べると、午前7時台は29.5%、午後2時台は39%の減少にとどまっています。

「リモートワークの設備投資 進まず」民間 調査会社

広島県内で平日の日中の人出が大幅に減らない現状について、民間の調査会社は、県内では製造業の工場で働く人が多いことに加え、中小企業を中心にリモートワークのための設備投資が進んでいないと指摘しています。

民間の調査会社東京商工リサーチが、ことし3月にリモートワークを実施している企業の割合を調査したところ、
▽全国では38%だったのに対し、
▽広島県は23%と、
15ポイントほど低くなっています。

この背景について調査会社では、県内では従業員の2割近くが製造業で働いていて、自動車や鉄鋼、造船などの組み立て作業などの現場が多く、リモートワークが導入しにくいとしています。

さらに、
▽中小企業を中心にリモートワークを行うためのセキュリティー対策などの設備投資が進んでいないことや、
▽公共交通機関を使わずに車で通勤する人が多く、通勤時の車内の混雑を気にしなくていいことも、
リモートワークが進まない要因になっていると指摘しています。

東京商工リサーチ広島支社情報部チームリーダーの喜田浩平さんは「リモートワークを導入した企業の成功事例や、国の支援制度を紹介して活用を広げていく必要がある。アフターコロナを見据えながらIT化を進め、併せて生産性を向上させることが欠かせないと思う」と話しています。