神戸 “スタジアム”がワクチン大規模接種会場に

神戸市が市内の球技場に設置した大規模接種会場で31日から、新型コロナウイルスのワクチンの集団接種が始まりました。

集団接種が始まったのは、神戸市兵庫区にあるサッカーJ1、ヴィッセル神戸の本拠地の「ノエビアスタジアム神戸」で、31日午前10時からの開始に合わせて、65歳以上の市民が次々と訪れました。

接種は通常、一般の人が立ち入ることができないスペースで行われ、まず、来場した人のうち、希望する人がメインスタンドの下でオンラインシステムによる医師の問診を受けました。

そして、選手などが使用する通路に設けられた12のブースで、医師や看護師から接種を受けていました。

接種を受けた70代の男性は「スムーズな誘導であっという間に終わり、ありがたいです」と話していました。

神戸市健康局の岡田宏二担当局長は「スタッフどうしの連携もとれていて、円滑な誘導のもと、安心してワクチン接種を受けていただけたと思います。今後も関係機関と連携しながら、会場を運営していきたいです」と話していました。

31日は、この大規模接種会場で、およそ1000人に接種を行う予定で、神戸市では今後、対応する人を増やし1日5000人を目指すとしています。

カギは薬剤師の確保

1日に5000人の接種を目指すノエビアスタジアムは、医師や看護師だけでなく、ワクチンを薄めたり、アンプルから注射器に移したりする作業にあたる薬剤師の確保がカギを握ります。

これまでの集団接種会場では、神戸市が、市の薬剤師会に調整を依頼していましたが、今回は大規模会場の運用開始で薬剤師の数が不足しており、神戸市側が大手の薬局チェーンに直接派遣を依頼したということです。

芦屋市に本社を置く「阪神調剤」グループを運営する会社には、1日10人の薬剤師が調達できないか打診がありました。
このため、急きょ、各店舗のシフトを変更して大規模会場に派遣する薬剤師を確保し、なんとか間に合わせたということです。

31日にノエビアスタジアムでワクチン準備の作業にあたった薬剤師の田口晃史さんは、ふだんは西宮市の店舗で働いていますが、今後、週に2日ほど、大規模会場での準備作業にあたるということです。
スタジアムの中には「薬剤室」が設けられ、薬剤師たちが作業に追われました。

田口さんは「ふだん、ほとんど注射器を触らないので、ウェブで研修を受けました。きょうは初日で心配でしたが、スムーズに作業することができました。休みを返上してでも精いっぱいがんばっていきたいです」と話していました。

また、薬局チェーンを運営する会社の小湊英範執行役員は「薬剤師会もあちこちで人を出しているので、われわれに依頼が来たのだろうと思い、全面的な支援を決めた。数人で営業している店舗もあるので、休みの日に出てもらうことになるが、ワクチンを1日も早く多くの方に接種していただくことが、いちばんであり、きっちりとがんばっていきたい」と話していました。