ソフトボール豪五輪代表 来日へ 事前合宿で来日は大会延期後初

東京オリンピックの事前合宿のため、ソフトボールのオーストラリア代表が、6月1日に来日し、群馬県太田市に滞在することになりました。新型コロナウイルスの感染拡大で東京大会の延期が決まって以降、海外のチームが事前合宿のために来日するのは初めてです。

ソフトボールのオーストラリア代表は、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとなっている群馬県太田市で大会に向けた事前合宿を行います。

太田市によりますと1日、選手やスタッフおよそ30人が来日して大会直前の7月中旬まで滞在し、1か月半にわたって市内の野球場を拠点に練習するということです。

ホストタウンの事務局を務める内閣官房などによりますと、新型コロナの感染拡大で東京大会の延期が決まって以降、海外のチームが事前合宿のために来日するのは初めてです。

市によりますと選手やスタッフ全員が来日前にワクチンの接種を済ませていて、滞在期間中も毎日、PCR検査を実施するということです。

感染対策として、野球場は原則、関係者以外の立ち入りを制限するうえ、選手たちにも宿泊先のホテルと野球場の往復以外は外出を自粛してもらうことにしています。

日用品などは、希望があれば市の職員が調達するということです。

選手たちは来月5日から練習を始める予定です。

受け入れる太田市 歓迎セレモニー行わず交流はオンラインで

群馬県太田市では学校の部活動などでソフトボールが盛んで、オーストラリア代表はこれまで世界選手権など国際大会の前にキャンプ地として滞在してきました。

練習の合間には選手たちが市内の小学校を訪問するなど交流を続けてきたということで、こうしたことがきっかけで太田市は3年前(2018年)東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとなりました。

受け入れの準備を進めてきた太田市文化スポーツ総務課は選手やスタッフの来日を前に、滞在期間中の練習や食事の時間など詳細なスケジュールを作成したほか、実業団チームと練習試合を行う方向で調整しているということです。

一方、太田市では新型コロナの感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」が出されていることなどから歓迎のセレモニーは行わず、当初計画していた地元の子どもたちとの交流は、オンラインで実施することを検討しています。

太田市の清水聖義市長は「子どもたちとの交流がなくなったことで、ホストタウンの意義は半分ほどなくなってしまったが、オーストラリア代表とのつきあいは長く、今後も交流を続けるために決断した。太田市がきちんとやればホストタウンの事前合宿は大丈夫といういい証明になるかもしれない。選手たちも日本の感染状況は分かっていると思うので、情報を共有しながら対策をしっかりとって、いい成績を残せることを願っています」と話していました。

滞在するホテルは

ソフトボールのオーストラリア代表が宿泊する太田市内のホテルでは新型コロナウイルスの感染対策など受け入れの準備を進めています。

このホテルは選手たちが国際大会の前に太田市内でキャンプをした際に、宿泊先として利用してきました。

6月1日からの事前合宿では、およそ30人の選手やスタッフ全員が1か月半にわたり宿泊することになっています。

新型コロナの感染対策として、選手やスタッフはホテルの8階と9階を貸し切って宿泊するほか、3階のフロアを共有スペースとして使用し、一般の宿泊客がいるほかのフロアには立ち入らないようにするということです。
3階のフロアには、食事とミーティングをする部屋がそれぞれ用意され、外出できない選手のためにウエイトトレーニングなどの器具を置く部屋も用意されました。

また、ホテルへの出入りは裏口を使ってもらい、エレベーターも一般の宿泊客が乗っている場合には利用しないようにしてもらうということです。

ホテルではこうした利用上の注意を呼びかけるはり紙を選手・スタッフ向けの英語版と一般の宿泊客向けの日本語版の2種類作成し、エレベーターの中に掲示しています。
一方、選手たちの滞在期間中は、ホテルの従業員も毎日、PCR検査を受けることにしていて、およそ200回分の検査キットが保管されていました。

このほか、卵や乳製品を含め動物性の食材を口にしない「ビーガン」と呼ばれる徹底した菜食主義者の選手がいるため、急きょ食事の別メニューの作成も始め、沖縄の砂糖や金沢の専門店で作られた卵を使用していない食パンなどを取り寄せたということです。

ホテルの葛生直樹マネージャーは「感染対策を徹底し、スタッフも感染しない、選手たちにも感染させないよう準備を進めていきたい。選手の皆さんには安心してホテルで過ごしてもらえればと思います」と話していました。

地元の人々は

各地で事前合宿の中止が相次ぐ中、地元で事前合宿が行われることについて太田市内に住む20代の男性は、「感染対策がされていればよいと思う。東京オリンピックは感染の不安があると思うが、無観客にするなど対策をしっかり取れば大丈夫なのではないかと考えている。これを機会に太田市でスポーツが盛んになってほしい」と話していました。

また、60代の女性は「対策をきちんとして受け入れるのであればよいかなと思う。選手の皆さんには頑張ってほしいです」と話していました。

一方、市内に住む70代の女性は、「反対でもないが喜ぶという感じでもない。太田市でソフトボールはずっと盛んだったが、各地で事前合宿が中止と聞いていたので、太田市でも中止だと思っていました」と話していました。