“株主総会をオンラインだけで” 準備進める企業相次ぐ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、株主総会をオンラインだけで開けるように準備を進める企業が相次いでいます。オンラインだけにしても、株主の意見や議決権の行使などを適切に反映させられるかが課題となります。

ヤフーとLINEを傘下に置くZホールディングスは、株主総会をオンラインだけで開けるように社内のルールを変更することを来月の株主総会で提案します。

現在は、株主総会をオンラインだけで開くことは法律で認められていませんが、今の国会で感染対策のための特例措置として認める法律の改正案が審議されています。

Zホールディングスは、感染のリスクを減らせるうえ、会場に足を運びにくい株主も参加できるようになるとして、法律が改正されれば、来年以降に導入することを検討しています。
尾崎太株式企画部部長は「ネット企業として株主が平等に出席できるように環境を整えていきたい。社内の知見を生かし、こういう形でできるのだと世の中に示したい」と話しています。
このほか「武田薬品工業」や住宅設備大手の「LIXIL」も同様の検討をしています。

一方で、株主の出席をオンラインに限った場合、会社側が一方的に議論を進めることなく、株主の意見を適切に反映すること、それに株主のなりすましを防ぐための本人確認や議決権行使の確認、それに通信障害に対応したシステムの整備が課題となります。

メリットと課題は

オンラインだけの株主総会には、メリットとともに課題も指摘されています。

メリットとしては感染のリスクを減らせることに加えて、遠くに住んでいるなどの理由で出席が難しかった株主が参加しやすくなるなど、より多くの株主が参加できる効果が期待されています。

一方、課題についてはオンラインでも株主の質問に会社側がきちんと答えるなど株主の意見を適切に反映した議事運営が求められます。

また、株主に成り済ます不正を防ぐための本人確認の徹底や、議決権の行使の結果を正確に確認するシステムの整備も必要です。

さらに通信障害を想定して、音声を別に録音しておくなど議論を中断させない備えも求められることになります。

こうしたシステムを整備するための初期投資には多額の費用がかかる一方で、中長期的には会場の設営にかかるコストを削減できるという指摘もあります。
株主総会の運営に詳しい飯田直樹弁護士は「完全オンラインとなると質問する側もハードルが低くなり、匿名性も高いのでかなりの数の質問が予想される。どれくらいの時間を質問にあてるかは議長の裁量に任され、適切な議事運営が求められる」と話しています。