札幌 医師が危機感 “感染拡大続けば自宅で死亡 さらに増加”

新型コロナウイルスの“第4波”に直面している札幌市で市の対策に携わってきた医師が取材に応じ、「感染拡大のペースがこのまま続けば、自宅で死亡する人がさらに増えてしまう」と強い危機感を示しました。医師は、自分で自分の命を守る対策が求められていると指摘しています。

連日、200人以上の感染者が報告されている札幌市では病床のひっ迫が深刻で、入院先を調整中だった人など40代から70代の男性4人が自宅で亡くなっているのが相次いで見つかっています。

この現状について、市の対策に携わってきた札幌医科大学の上村修二医師は「感染拡大のペースがこのまま続けば、自宅で死亡する人がさらに増えてしまう」という見方を明らかにしました。

その理由として感染した人が医師や看護師による健康観察を受けるまで、1週間以上かかるケースが相次いでいることや自覚症状がないまま、命の危険があるほど症状が悪化する人が少なくないことを挙げています。

上村医師は「感染がわかってからおよそ1週間後に症状が悪化する傾向があるが、感染者が多すぎて医療従事者による健康観察を受ける前に急変してしまう人が多くなっている。自覚症状がないままどんどん症状が悪くなるため、亡くなる人も出てきてしまう」としています。
そのうえで「保健所による自覚症状の確認だけでは限界があり、自分で自分の命を守る対策が求められている」と述べ、感染した場合に備えて体内に酸素をどの程度、取り込めているかを把握できるパルスオキシメーターのほか、熱やせきを抑える薬、それに脱水を防ぐための経口補水液を用意すること、さらに1週間程度の非常食を準備するか、ネットで購入できるようにしておくことも検討すべきだとしています。

そして、1人暮らしの人が感染した場合は、周囲の人に安否確認をしてもらったり、薬や食料を購入してもらったりするなど、助けあいの態勢を整えることも必要ではないかと指摘しています。

札幌市 自宅療養者は1500人

連日、200人を超える感染者が報告されている札幌市では、自宅で療養している人が1500人近くにのぼるなど、これまでにない深刻な事態となっています。

今月に入って感染拡大の“第4波”に直面している北海道では、特に札幌市で感染者が多くなっていて、今月13日には市だけで、一日としては過去最多の499人の感染が明らかになりました。

その後も、新たな感染者の報告が200人を超える日が続いていて、市が今月27日の時点で確保している病床、475床の使用率は、93.68%となっています。

また、自宅療養やホテルなどでの宿泊療養も増えていて、自宅療養は1470人、宿泊療養は319人に上っています。

さらに、病院や介護施設で起きたクラスターなどで感染し、そのままとどまって療養している人や入院や宿泊療養に向けて自宅で待機している人、それに療養先を調整している人などは合わせて2896人にのぼり、札幌市の医療提供体制のひっ迫がこれまでになく深刻化していることが明らかになっています。