サッカー 日本との試合でミャンマー選手が軍へ抗議のポーズ

28日夜、千葉市で行われているサッカー、ワールドカップカタール大会アジア2次予選の日本対ミャンマーの試合前、ミャンマーの国歌斉唱の際に、ミャンマー代表の控えの選手1人が軍への抗議の意思を示す、3本の指を立てるポーズを取りました。

3本の指を立てるポーズを取ったのは控えのゴールキーパー、ピエ・リアン・アウン選手で、国歌斉唱の際に近づいてきたテレビカメラに向かって、右手を挙げて3本の指を立てました。

ミャンマー代表はことし2月に軍によるクーデターが起きたあと初めてとなる国際試合に臨んでいます。

試合前、会場の周辺では日本に住むミャンマー人が集まって、「軍部のサッカーチームをサポートしない」と書かれたプラカードなどを掲げて、抗議デモを行っていました。

FIFA=国際サッカー連盟の倫理規定には役員や選手などの関係者は政治的に中立を保つべきと明記されています。

また、FIFAなどで作る「国際サッカー評議会」が定める競技の規則では試合などで、競技者は政治的、宗教的または個人的なスローガンやメッセージ、あるいはイメージを見せてはならないとしています。

在日ミャンマー人たちが試合前に抗議の声

また、日本対ミャンマーの試合を前に在日ミャンマー人たちが会場周辺に集まり、ことし2月のクーデター後、市民への弾圧を続ける軍などに対する抗議の声を上げました。

試合前、会場の千葉市のスタジアムの前には、SNSなどの呼びかけで集まった在日ミャンマー人およそ100人が集まり、抗議デモを行いました。

参加者たちは「軍部のサッカーチームをサポートしない」と書かれたプラカードを掲げたり、スタジアムに向かって「スポーツへの軍の介入に反対する」などと声を上げたりして、弾圧を続ける軍や、そうした状況で代表チームがプレーすることに抗議しました。

30代の男性は「ミャンマーにいる家族が大変な状況にある選手もいて、かわいそうだと思うが、国の代表として試合をしてほしくない」と話していました。

また、20代の女性は「ミャンマーには拘束されている選手や殺害された選手もいる。軍の圧力もあり危険なことは分かっているが、選手には軍に反対する何らかのメッセージを発してほしい」と話していました。

ミャンマー代表への参加を辞退した選手は

サッカーワールドカップアジア2次予選に臨んでいるミャンマー代表への参加を辞退したという選手が28日、NHKの取材に応じ、辞退の理由について、市民への弾圧を続ける軍に抗議するためだったと明らかにしました。

取材に応じたのは、ミャンマー代表としておよそ10年間プレーしてきたゾー・ミン・トゥン選手です。

先月、ワールドカップアジア2次予選に向け、ミャンマーサッカー連盟から代表への参加を打診されましたが、クーデター以降、軍による弾圧でサッカーファンを含む多くの市民が苦しんでいる現状を見て、悩んだ末、辞退したということです。

ゾー・ミン・トゥン選手は「私は市民の側に立ちたい。1人の親として、子どもたちに正しいことを教えたい。だから正義の側に立つことを決めた」と、辞退の理由を述べました。

一方で、日本との試合に出場できなかったことについて「ヨーロッパで活躍する日本の選手たちとプレーできる機会だったが、とても残念だ。試合をただ座って見ていなければならない気分は、言い表すことができない」と、選手として複雑な胸中を口にしました。

ゾー・ミン・トゥン選手は「軍の独裁が終われば、またミャンマーのためにプレーしたい」としたうえで、日本に向けては「ミャンマーで何が起きているのか、国際社会に知ってもらえるよう助けてほしい」と呼びかけました。

ミャンマー監督「いいサッカーをすることに集中した」

ミャンマー代表のアントワーヌ・ハイ監督は試合後、オンラインの記者会見に臨み、試合前、会場周辺に在日ミャンマー人たちが集まり、祖国で市民への弾圧を続ける軍などに対する抗議の声を上げたことについて聞かれると「彼らがどういう理由で集まっていたのか分からないが私たちはサッカーに集中している。私たちは政治的な立場をとらず、いいサッカーをすることに集中した」と述べました。

そして、ミャンマー代表の控え選手1人が国歌斉唱の際、軍への抗議の意思を示す、3本の指を立てるポーズを取ったことについては「気がつかなかった。自分で見ていないのでコメントできない」とだけ答えました。