変異ウイルス 30、40代が重症化 埼玉医科大学総合医療センター

変異ウイルスに感染した40代の女性が取材に応じ、「自宅と職場の往復など、最小限の外出にとどめ、注意していたが感染してしまった」と、変異ウイルスの感染力の強さに驚いたと話しました。首都圏の病院では、患者のほとんどが変異ウイルスに置き換わり、今後、さらに感染力が強いとされるインドで広がる変異ウイルスへの警戒を強めています。

埼玉県川越市の埼玉医科大学総合医療センターでは、「N501Y」という変異のあるウイルスの患者が急増し、13人の患者のうち、検査中の3人を除く10人が変異ウイルスに感染しています。

従来の患者にはあまりみられなかった、ほとんど基礎疾患のない30代や40代が重症化するケースが相次いでいるということです。

今月、変異ウイルスに感染した40代の女性は、年齢や症状などから最初は自宅で療養していましたが、その後、血液中の酸素の状態が悪化し、入院することになりました。

マスクの着用や消毒など対策は徹底し、自宅と職場の往復など最小限の外出にとどめていたということで、女性は「どこで感染したのか、分からない。注意していたが感染してしまった」と、変異ウイルスの感染力の強さに驚いたと話していました。

この病院では、今後、さらに感染力が強いとされるインドで広がる変異ウイルスについても警戒を強めています。
感染症科の岡秀昭医師は「“インド株”が主流になる流れは警戒しなくてはいけない。急速に置き換わるということは、それだけ脅威的なウイルスだということで、現場としては患者の急増として跳ね返ってくるのが怖い。“イギリス株”はまん延を許してしまったが、その反省に立ち返って次の流行は防いでもらいたい」と話しています。
埼玉医科大学総合医療センターで治療を受けている、40代の女性は、症状がよくなってきたことから、医師が代理で質問する形式で取材に応じてくれました。

感染が確認されたのは、今月中旬、女性には軽い基礎疾患がありましたが、40代という年齢や症状などから、最初は自宅で療養していました。

ところが、その後、血液中の酸素の状態が悪化し、入院することになりました。

当時の状況について「関節が痛かったものの、熱は37度程度で、“なんだろう”と思っていたが、それが3日も4日も続いた」と振り返ります。

そして、入院後の検査で、イギリスで最初に見つかった、感染力が強い「N501Y」という変異があるウイルスに感染していたことが分かりました。

女性は酸素の吸入が必要な状態に陥りましたが、治療の結果、症状はよくなってきて、酸素マスクを外すことができるようになりました。

女性は、マスクの着用や消毒など対策は徹底し、自宅と職場の往復や、生活用品の買い物など最小限の外出にとどめていたということです。

女性は「どこで感染したのか、分からない。もちろん手洗いなどはちゃんとしていたし、仕事が終わるたびにアルコールで消毒もしていた。本当に全然分からない」と、変異ウイルスの感染力の強さに驚いたと話していました。

一方で「新型コロナはもう1年以上たつから、自分は大丈夫かなと思っていたが、全然、大丈夫ではなかった。入院するまで悪化するとは思わなかった」と話し、長引く自粛生活でも気を緩めず、対策を徹底する必要があると多くの人に知ってほしいと訴えていました。

治療にあたった岡秀昭医師は「入院から1週間で酸素マスクが外せる状態になった。搬送の判断は適切で、1日、2日遅ければ、間違いなく人工呼吸器になっていた」と話しています。