“台湾へのワクチン提供を検討” 茂木外相

新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、茂木外務大臣は、国内の接種対象を上回る分はほかの国、地域へ提供していくとして、台湾への提供も検討する考えを示しました。

台湾では、5月中旬から新型コロナウイルスの感染が急拡大し、ワクチン接種の加速が課題となっていますが、蔡英文総統は、先に、海外の製薬会社からのワクチンの調達が中国の妨害でさらに難しくなっていると主張しました。

これに関連して茂木外務大臣は記者会見で「あらゆる国、地域で、安全で有効なワクチンへの公平なアクセスが確保されることが重要だ」と述べ、国内の接種対象を上回る分のワクチンについては、ほかの国・地域に提供していきたいという考えを示しました。

そのうえで「台湾は東日本大震災の際、いち早く義援金を募り、さまざまな支援をしていただいた。台湾のワクチンの生産体制は7月にはかなり整ってくると思うが、それ以前の段階では不足している状況にあると思う。しっかり検討していきたい」と述べました。

加藤官房長官 「ワクチンへの公平なアクセス重要」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「日本としては、あらゆる国と地域において、安全で効果的なワクチンへの公平なアクセスが確保されることが重要だと考えている」と述べました。

そのうえで、国内では、当面、ファイザーとモデルナのワクチンで、必要な数量がまかなえる見通しになっているとして、それを上回る分のワクチンをほかの国や地域に供給することを検討する考えを示しました。

日本が契約しているワクチンのうち、アストラゼネカのワクチンは、極めてまれに血栓が生じるリスクがあると指摘されていることから、厚生労働省は、当面、公的な接種に使わず、推奨する年齢などを慎重に検討する方針です。

台湾 外交部がコメント「心から歓迎し感謝する」

これについて、台湾の外交部が28日夜「心から歓迎し、感謝する」というコメントを発表しました。

外交部は「日本が自国の感染状況も厳しい中で、進んで台湾への温かい配慮を示したことは『まさかの時の友こそ真の友』という得難い友情を存分に発揮するものであり、台湾の人たちは大いに鼓舞された」としています。