米バイデン大統領 コロナ発生源について情報機関に再調査指示

アメリカのバイデン大統領は新型コロナウイルスの発生源について分析に必要な情報が十分ではないとして、情報機関に再調査を指示するとともに中国に情報公開を求める方針を明らかにしました。

バイデン大統領は26日、声明を発表し、新型コロナウイルスの発生源についてアメリカの情報機関が行った調査の結果を明らかにしました。

それによりますと
▽ウイルスに感染した動物とヒトが接触した可能性と
▽研究所から流出した可能性の2つに絞られているものの
はっきりした結論には至っていないとしています。

動物からヒトに広がった可能性を支持する情報機関は2つあり、研究所から流出した可能性を支持する情報機関も1つあるとしていますが、いずれも確証はなくほとんどの機関が分析に必要な情報が十分ではないと判断しているということです。

このためバイデン大統領は情報機関に対して再調査を行い、90日以内に報告するよう求めました。

そのうえで「中国に対し透明性のある国際的な調査に参加するとともに、すべてのデータや証拠へのアクセスを認めるよう迫るため各国と協力していく」として、中国に情報公開を求める方針を明らかにしました。

新型コロナウイルスの発生源をめぐってはWHO=世界保健機関のチームが中国・武漢で調査を行い、研究所からの流出の可能性は極めて低いとする報告書を公表しさらに調査を続けています。

これについてホワイトハウスのジャンピエール副報道官は会見で、記者団から「なぜ中国政府が協力すると思うのか」と質問され「それは中国政府に聞くべき質問だ。新型コロナウイルスの発生源は重要な問題で、彼らにも大切な問題であるべきだ」と述べるにとどまりました。

中国 米の発生源再調査を非難

アメリカのバイデン大統領が、新型コロナウイルスの発生源の再調査を情報機関に指示したことについて、中国外務省の趙立堅報道官は、27日の記者会見で「WHO=世界保健機関の調査チームが、研究所からの流出の可能性は極めて低いとする報告書を公表していて、これが権威ある科学的な結論だ。アメリカは、事実を意に介さず、中国に汚名を着せ、責任をなすりつけている」と述べ、非難しました。

また、バイデン大統領が、中国に情報公開を求める方針を示したことについて、中国で感染が拡大する前に、アメリカでも原因不明の呼吸器系疾患の症例があったなどと主張し、「アメリカも中国と同じように、WHOに協力して全面的な調査を行い、国際社会の懸念に答えるべきだ」と述べ、反論しました。

加藤官房長官「外部の干渉受けない評価が不可欠」

加藤官房長官は午前の記者会見で「将来のパンデミックを防ぐためには、迅速で独立した専門家主導の外部からの干渉を受けないウイルス起源の評価が不可欠と考えている。今後のさらなる徹底した調査が新型コロナの発生源の解明につながるよう、わが国としても必要な対応をとっていきたい」と述べました。