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韓国 余ったワクチンを地図アプリなどに表示 予約システム開始

韓国政府は、予約がキャンセルされるなどして余った新型コロナウイルスのワクチンを活用するため、新たな取り組みを始めました。医療機関ごとに、何回分のワクチンが余っているのかをスマートフォンの地図アプリなどに表示し、当日、接種を希望する人が予約できるシステムで、韓国政府としては、ワクチンの廃棄を減らし接種率の向上につなげたい考えです。
韓国では、医療従事者や入院患者などに続き、75歳以上の人にワクチンの接種が行われていましたが、27日から接種の対象が65歳以上に拡大されました。

これに合わせて韓国の疾病管理庁は、予約のキャンセルなどで余ったワクチンを活用するため、新たな取り組みを始めました。

医療機関は、キャンセルなどで何回分のワクチンが余っているのかを、インターネットを通じて政府のシステムに登録します。

このデータは、民間企業が運営するスマートフォンの地図アプリやインターネットサイトに表示され、当日、接種を希望する人が予約できる仕組みです。

接種を希望する人は、自分の地図アプリなどに自宅や職場などに近い医療機関を5か所まで設定することができ、その医療機関で余ったワクチンが発生した場合、通知を受けることもできます。

ワクチンはアストラゼネカなどが開発したもので、30歳以上であれば誰でもこのシステムで予約できますが、▼すでに1度でも接種した人や、▼別の形で接種の予約を入れている人は、このシステムで予約はできません。

韓国政府としては、ワクチンの廃棄を減らし接種率の向上につなげたい考えです。

接種希望者「簡単に照会でき 予約しやすい」

余ったワクチンの予約ができるシステムは、27日午後1時から運用が始まりました。

ソウル市内に住むキム・スンジョン(金丞貞)さんは、近所の医療機関で余ったワクチンを接種したいと考え、地図アプリで探しました。

午後1時から20分間、さらに30分おきに数分間ずつ地図アプリを確認しましたが、余ったワクチンを接種できるという表示は、自宅周辺では見つけることができませんでした。

その後、範囲を広げて調べたところ、4回分のワクチンの予約ができるという病院を見つけました。

この病院が自宅から遠かったため今回は予約しませんでしたが、キムさんは「今後も確認を続けようと思う」と話していました。

また、「自宅周辺の医療機関に余ったワクチンがあるのか簡単に照会でき、利用しやすいと感じた」と話していました。

一方、このシステムを利用して余ったワクチンの予約を入れた人が、連絡をしないまま接種を受けなかった場合、このシステムを二度と利用できなくなるということです。

病院院長「負担少なく効率的」

ワクチン接種を行っているソウル市内の病院の院長は「貴重なワクチンを廃棄することなく、接種していくことが重要だ。このシステムならば、余ったワクチンが発生した際にすぐほかの人に来てもらえる」と話し、効率的な接種につながると期待を示しました。

また、何回分のワクチンが余っているのか、パソコンで入力するだけで済むため、負担は少ないといいます。

一方、病院では、スマートフォンの地図アプリなどを使い慣れていない高齢者のために、余ったワクチンの接種を希望する人たちの名簿を事前に作り、電話で知らせる取り組みも並行して行うとしています。

韓国 ワクチン接種めぐる現状は

韓国では、日本より1週間余り遅いことし2月26日からワクチンの接種が始まり、韓国政府は、流通から接種の管理、異常があった際の対応まで、政府のあらゆる資源を総動員し、総力をあげて対応するとしています。

接種の予約は、国のホームページやコールセンターなどを通じて行い、現在は、全国1万3000か所余りの医療機関で、アストラゼネカなどが開発したワクチンと、ファイザーなどが開発したワクチンの2種類が接種されています。

疾病管理庁によりますと、26日までに、少なくとも1回の接種を受けたのは人口の7.8%にあたる403万人余り、2回の接種を終えたのは201万人余りとなっています。

韓国政府は、9月終わりまでに人口のおよそ70%にあたる3600万人に対して1回目の接種を終え、同時に2回目の接種も進める方針で、ことし11月までに多くの人が免疫を持つことで感染が広がりにくくなる、いわゆる「集団免疫」の状態を目指しています。

ただ、韓国では、ワクチン確保の遅れが指摘されているほか、接種をためらう人も少なくなく、政府の計画どおりに進むのかどうか疑問視する声も出ています。

このため、今月、ムン・ジェイン(文在寅)大統領がアメリカを訪問した際には、ワクチンに関する支援をとりつけることに期待が高まっていました。

アメリカからは、アメリカ軍と緊密に活動する韓国軍のために55万人分のワクチンを受け取ることになったほか、ワクチンをめぐるパートナーシップで合意し、アメリカの製薬会社のワクチンを韓国企業が受託生産することなどが盛り込まれました。

ただ、一般の国民向けのワクチンの供給に関する具体的な内容はなく、野党や保守系のメディアなどからは批判も出ています。

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