News Up

コロナ カタカナ 多いかな?ワクチン予約がディフィカルト!

「パンデミック」に「クラスター」、「ソーシャルディスタンス」。

この1年余り、コロナをきっかけにカタカナが次々と登場しました。

いざワクチンが完成し、WEBで接種の予約をしようと思ったら、今度は「ログイン」「アカウント」というカタカナにお年寄りたちは困惑気味。

カタカナのパイオニアのこの人に聞いてみたら・・・。

「ちょっとアイドントアンダースタンドですね」

みなさんはカタカナ語と“トゥギャザー”してますか?

(ネットワーク報道部 記者 吉永なつみ 鈴木有 杉本宙矢)

【目次】
▽ワクチン予約のカタカナ語が分からない!
▽リコンファメーションメールって?
▽ルー大柴さんに聞く 伝え方の極意
▽国語辞典編纂者はどう思う?
▽コロナ禍の主なカタカナ用語集

「ログイン」がわからないの

「“ログイン”っていったい何?全然わからないから教えて」

横浜市の実家にいる79歳の母親から、群馬県に住む娘のナオコさんに泣きの電話が入りました。

ナオコさんの両親はワクチンの接種の通知を受け取り、電話窓口にかけてみましたが、何度かけてもつながりません。

このため、インターネットで予約しようと考えたそうです。

ふだんからスマホを使っているという両親。

予約専用サイトの画面まではたどりつくことができました。
横浜市のワクチン予約サイトの画面
しかし画面に出ている「ログイン」がどういう意味か、わからないというのです。

ボタンを押して進むよう伝えると、今度は「アカウント」や「URL」という言葉につまづきました。

ナオコさんは深夜まで両親と電話でやりとりをして、最終的にはナオコさんが代わりに予約したといいます。
ナオコさん
「両親はインターネットの用語に慣れておらず、『アカウント』とか『URL』といったささいな言葉につまづいているんですね。母の友人の分も私が予約してあげました。周りの友達も親が似たような状況だと聞き、もう少しお年寄りにもわかりやすい表現にできないのかなと疑問を感じました」

リコンファメーションって?

ワクチンの接種をようやく予約できたのに、また次なる壁が。

「リコンファメーションのお知らせです」

ワクチン接種の前日に、自治体からそんなタイトルのメールが届いたという投稿が、SNSでは相次いでいます。
相模原市から届いたメール
リコンファーメーション、予約内容の再確認という意味です。

「若い人でも分からない」
「迷惑メールかと思った」
「予約確認のお願い、ではだめだったのか」

ネットではかなり不評なようです。

リコンファメーションメールを送った自治体の一つ、相模原市の担当者はこうコメントしています。
相模原市の担当者
「システムを委託した事業者が提供している機能で、予約日前日に自動配信されるようになっています。文面はもともとの仕様をそのまま用いていますが、確かに今言われると分かりにくかったなと思います。文面を変えられるのか事業者に確認し、できるようなら平易な文にすることも検討したいです」

「エブリバデノウズ」に

カタカナ語があふれていることについて、この人はどう感じているのか。
ルー大柴さん
「やぶからスティック」、いえ、「やぶから棒に」ではありますが私たちはその極意を、あの方に尋ねることにしました。

日本語と英語をトゥギャザーにする「ルー語」で有名な、タレントのルー大柴さんです。

67歳のルーさん、5月25日にワクチン接種券が届いたそうです。

ほかの地域には「リコンファメーションのお知らせメール」が届いていると伝えると、「ちょっと、アイドントアンダースタンドですね」と手厳しい反応。

そして「素直に日本語で解説したほうがよろしいんじゃないでしょうか。お年寄りのために」とルー語を使わずに真顔で答えました。

実は難解に見えるルー語ですが、ルーさんはみんなが分かるように中学2年生の2学期までに習う英単語を使うよう、心がけているそうです。

さらに、もう一度日本語に言いかえて、内容をフォローするようにしているといいます。
ルー大柴さん
「ちょっとディフィカルト、難しいですよねー。結局ね、難しい英単語を言うのであれば意味を補足しないと。せっかくインターネットはコンビニエンス、つまり便利なものなのに、分かりにくいままにしてはもったいないですよ。カタカナ語を交える極意は、エブリバデノウズ、知っている英単語を使うことです」

カタカナ語のオーバーフロー

新型コロナウイルスの感染拡大では、これまであまりなじみがなかったカタカナ語が多く聞かれるようになりました。

いま街なかを歩けば至る所に「ソーシャルディスタンス」と書かれた貼り紙が。

新型コロナとどのように付き合って生活していくかを表す「ニューノーマル」や「ウィズコロナ」といった言葉も登場しました。

「クラスター」や「サーベイランス」といったカタカナ語は、政府の基本的対処方針にも記載されています。
一方で、なかなか定着しているとは言いがたいカタカナ語も。

ハンマー&ダンス

どんな意味か分かりますか。

急激な感染拡大に対して、ハンマーでたたくような思い切った対策を実施し、その後は様々な備えで、ウイルスとダンスを踊るように共存していくことです。

信頼性の高い情報とそうではない情報が入り混じる「インフォデミック」も、いまでは聞く機会は少なくなっています。

でも、カタカナ語にもメリットが

「言葉が悪いというよりは、社会自体が激変しています。私はカタカナ語をある面では弁護したい」

こう話すのは、国語辞典編纂者で『三省堂国語辞典』の編集委員を務める飯間浩明さんです。

飯間さんは、カタカナにもメリットがあると指摘します。

漢字に比べると、目で見てすぐには意味が分からないものの、耳で聞いて識別しやすく記憶に残りやすいという特徴があるというのです。

かつて社会が大きく変わった幕末から明治にかけての時代。

西洋からの知識や概念を取り入れるため、「自由」や「社会」などの翻訳語が作られ、漢語が使われることが多くなったといいます。

しかし、例えば「憲法」という言葉には「拳法」や「絹布(けんぷ)」など、同音語や類音語が多くありました。

当時は、識字率が今ほど高くない時代。

一般の人にとって、耳で聞くだけでは理解しにくかったといいます。

実際、人々が「憲法の発布」を「絹布(けんぷ)の法被(はっぴ)」と勘違いし、はっぴが配られると、お祭り騒ぎになったこともあったそうです。

一方で、今回のコロナ禍。

「ソーシャルディスタンス」という言葉はそれだけ聞くと何を意味するかわかりにくいものの、耳には残ります。

「距離を取ろう」という意味だと伝わると、今では多くの人が日常生活や仕事の中で使うようになっています。
国語辞典編纂者 飯間浩明さん
飯間さん
「言葉というものは柔軟で、社会が変われば、それに対応する表現をどんどん作るのです。今のカタカナ語の氾濫はコロナ禍という未曽有の事態に社会が対応しようとしている証拠。『知らない言葉を使うな』という気持ちもわかりますが、言葉のシステムが健全に機能しているからなのです」

相手に理解してもらえるか考えて

とはいえ、意味が分からない言葉をたくさん覚えるのは大変な気もしますよね・・・。

飯間さんは新しい概念や表現が出ることは避けがたいものの、重要なキーワードは必ずしも多くはないと指摘します。
飯間さん
「例えば、クルーズ船での感染拡大で使われた『ゾーニング』といった用語は最近ではあまり聞かなくなっています。一方、使用範囲が広い言葉は繰り返し使われるので定着していく。言葉の中には、“一発屋”もあれば、長く支持されるものもあります。どれがそうなるかは分からない。新しい言葉が出てきたら、日々勉強のつもりでなるべく覚えるよう心がけ、使わなくなったら忘れてもいいのです」。
一方、何かを伝えようとする人には言葉が伝わる工夫と、伝わりにくい人にも配慮する仕組みが必要だと指摘します。
飯間さん
「分かりにくいカタカナ語は使わずにすませられるなら、別の言葉に置き換えたり、使う場合には一言添えたりすれば伝わります。大事なことは相手に理解してもらえるかどうかを常に考えることです。そして、お年寄りなど新しいことが苦手な人には寄り添う仕組みをつくることも大切だと思います」
私たち記者も新しく出てきた言葉を何気なく使ってしまいがちです。

けれど、本当にその言葉でなければならないのか。

今一度、自分に問いかけながら、言葉と向き合ってみようと思います。

最後にルーさんからのメッセージです。
ルー大柴さん
「コロナで非常に悩んでいるメニメニピープル、いると思うんですけど、やっぱりホープをフィール、希望を感じてウォークしていかなきゃ。サンクス!」

コロナ禍の主なカタカナ語用語集

※取材班調べ

みなさんはどれぐらい覚えてますか?

コロナ禍

新型コロナウイルス感染症が招いた危機的・災厄的な状況のこと

オーバーシュート
爆発的に感染者が増えること

ロックダウン
都市封鎖・緊急時、交通網を止めるなどして強制的な出入り制限を行うこと

クラスター
患者間の関連が認められた集団

アウトブレイク
限られた狭い範囲で病気が急増すること

エンデミック
特定の地域などで、普段から継続的に病気が発生すること

エピデミック
病気の発生が、通常の状態よりも明らかに多い状態

パンデミック
国境をまたぐような「世界的な大流行」

インフォデミック
情報(information)と伝染病(epidemic)の2つの言葉を組み合わせた言葉で、信頼性の高い情報とそうではない情報が入り混じって不安や恐怖と共に急激に拡散され、社会に混乱をもたらす状況

エピセンター
感染の震源地

エピカーブ
発症時刻と患者数のグラフ

ゾーニング
清潔な区域とウイルスによって汚染されている区域を区分けすること

サーベイランス
感染症の発生状況(患者及び病原体)の把握及び分析

WHO(World Health Organization)
世界保健機関。「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関。新型コロナウイルスを含め、感染症対策の指針を発信している

COVID-19(コビッド-19)
新型コロナウイルス感染症の名称。Coronavirus Disease 2019(2019年にコロナウイルスにより発生した病気)2019年12月に中国・武漢で確認された

アルファ
イギリスで確認された変異ウイルスについてWHOが新たに定めた呼称

ベータ
南アフリカで確認された変異ウイルスについてWHOが新たに定めた呼称

ガンマ
ブラジルで確認された変異ウイルスについてWHOが新たに定めた呼称

デルタ

インドで確認された変異ウイルスについてWHOが新たに定めた呼称

ハンマー&ダンス(The Hammer and The Dance)
急激な感染拡大に対して、ハンマーでたたくような思い切った対策を実施し、その後は様々な備えで、ウイルスとダンスを踊るように共存していくこと。流行対策の概念

ソーシャルディスタンス
感染症などの拡大を防ぐため、意図的に人と人との物理的距離を保つこと

ステイホーム
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、うちですごそう、外出を控えようということ

東京アラート
感染状況の悪化の兆候が見られる場合に都民に警戒を呼びかけるもの

ゼロ密
密閉・密集・密接が1つもない状況のこと

咳エチケット
感染症を他の人に感染させないために、せき・くしゃみをする際、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖、ひじの内側などを使って、口や鼻をおさえること

テレワーク
ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方

ワーケーション
仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた欧米発の造語で、テレワーク等を活用し、普段の職場や居住地から離れ、リゾート地などの地域で普段の仕事を継続しながら、その地域ならではの活動も行うもの

ノマドワーカー
電車、カフェ、家などを移動して仕事をする人

エッセンシャルワーカー
最前線で感染のリスクもある中コロナに向き合う医療従事者や、在宅勤務が難しい中社会を回すため働く人たち

ベーシックインカム
すべての個人が、権利として、無条件で、普遍的に、一定の額のお金を定期的に受け取ることができるという理念・制度

アベノマスク
政府が全国すべての世帯に配布した布製のマスク

ハレーション

周囲に及ぼす悪影響や人間関係の摩擦のこと

ウィズコロナ
コロナと共生する社会の意味

ニューノーマル
感染症の流行で急速に浸透した新しい生活様式

エビデンス
根拠や裏付け

転売ヤー
希少価値の高いチケットを転売目的で大量に購入し、オークションサイトなどを利用して高額で販売する人たち

ソフトウエア
コンピューターを動かすプログラム

アプリ
目的にあった作業をするソフトウエア

オンライン
パソコンやスマートフォンがインターネットといったネットワークにつながっている状態のこと

オンライン診療
スマートフォン、パソコンなどの通信機器で医療機関に相談すること

チャット
オンラインでつながった人とする文字による会話

オン飲み
「オンライン飲み会」の略。ビデオ通話を使って離れた場所にいる友達などと飲み会を開くこと

ユーチューブ
動画を投稿できてみんながそれを見ることができるサービスの1つ

クラウドファンディング
応援資金を募る活動

サインイン・ログイン
コンピューター上で利用者本人の確認を行い、接続や利用を申請すること

マイページ
契約内容の照会や各種手続き等ができる、利用者専用のページ

フィーチャーフォン
スマートフォンよりも前の世代の携帯電話

バナー
ウェブサイトを紹介する役割をもつ画像

ホームページ
それぞれのウェブサイトで最初に見られることを目的にしたページ ウェブサイト全体を指す意味でも使われる

アカウント
コンピューターやソフトウェア、ネットワークなどを使用するための権利や資格のこと

URL(Uniform Resource Locator)
インターネット上で情報が格納されている場所を示すための住所のような役割を果たす文字列のこと

リコンファメーション(Reconfirmation)
予約の再確認

最新の主要ニュース7本

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

特集

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

News Up

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

スペシャルコンテンツ

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

ソーシャルランキング

一覧

この2時間のツイートが多い記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

アクセスランキング

一覧

この24時間に多く読まれている記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。