「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界文化遺産に登録の見通しに

世界文化遺産への登録を目指している北海道と青森県、岩手県、それに秋田県に点在する「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、ユネスコの諮問機関は世界遺産への登録がふさわしいとする勧告をまとめました。これにより、ことしの世界遺産委員会で世界文化遺産に登録される見通しとなりました。

「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、北海道と青森県、岩手県、秋田県に点在する17の縄文時代の遺跡で構成され、
▽竪穴建物や掘立柱建物などが配置された青森市の「三内丸山遺跡」や、
▽大小の石が環状に配置され「秋田のストーンサークル」と呼ばれる祭祀遺跡、秋田県鹿角市の「大湯環状列石」などが含まれています。

国は、狩猟や採集、漁を基盤に人々が定住して集落が発展し、1万年以上続いた「縄文時代」の生活や精神文化を現代に伝えるもので普遍的な価値があるとして、ことしの世界文化遺産への登録を目指しています。

文化庁によりますと、ユネスコの諮問機関「イコモス」は、現地調査などの結果、4段階ある評価のうち最も高い、世界遺産に登録することがふさわしいとする「記載」の勧告をまとめました。

これにより「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、構成する17の遺跡がすべて、ことし7月にオンラインで開かれる世界遺産委員会で正式に世界文化遺産に登録される見通しとなりました。

勧告を受けて文化庁は、26日午後8時から記者会見を開き「わが国の貴重な文化遺産が国際的に高い評価を受けたことを喜ばしく思うとともに、地元の関係者の方々の努力に敬意を表したい。農耕以前に狩猟や採集を中心とした生活がこれほど長く続いていた点に価値があると伝えてきたので、そこがよい評価を得られてよかった」と話しています。

国内では、今月10日に鹿児島県の奄美大島と徳之島、それに沖縄県の沖縄本島北部と西表島にある森林などが、世界自然遺産への登録にふさわしいと勧告されていて、いずれも登録されれば日本の文化遺産は20件に、自然遺産は5件になる見通しです。

「北海道・北東北の縄文遺跡群」とは

「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、「三内丸山遺跡」など、北海道と青森県、岩手県、それに秋田県にある17の縄文時代の遺跡で構成されています。

このうち北海道は大規模な貝塚の「北黄金貝塚」や、沿岸地域の集落跡の「大船遺跡」のほか、「垣ノ島遺跡」「入江貝塚」「高砂貝塚」「キウス周堤墓群」の6つの遺跡です。

青森県は最も多い8つの遺跡が構成資産に含まれています。
このうち、青森市の「三内丸山遺跡」は、東京ドームおよそ9個分にあたる広さ42ヘクタールの大規模な集落跡で、縄文時代の建築技術を示す「掘立柱建物」のほか、「竪穴建物」などが計画的に配置されていて、17の遺跡の中でも「学術上の価値が特に高い」とされています。
このほか、「大平山元遺跡」「田小屋野貝塚」「二ツ森貝塚」「小牧野遺跡」「大森勝山遺跡」「亀ヶ岡石器時代遺跡」、「是川石器時代遺跡」があります。

岩手県が、配石遺構などの墓域と祭祀場である盛土を伴う大規模な集落跡の「御所野遺跡」。

秋田県は2つの遺跡で、このうち鹿角市の「大湯環状列石」は、「秋田のストーンサークル」と呼ばれ、大小の石が配置された最大径が52メートルと44メートルの2つの環状列石などからなる祭祀遺跡で、17の遺跡の中でも「学術上の価値が特に高い」とされています。
このほかは「伊勢堂岱遺跡」があります。

17の遺跡について文化庁は、狩猟や採集、漁を基盤に人々が定住して集落が発展し、1万年以上続いた「縄文時代」の生活や精神文化を現代に伝えるもので、顕著な普遍的価値があるとしています。

遺跡群は、2005年に青森県が県内8つの遺跡を国内の推薦候補に提案しましたが見送られ、その後、北海道と岩手県、秋田県と共同提案して、2009年に国内の推薦候補の前提となる「暫定リスト」に掲載、政府は去年、世界文化遺産への登録を目指して推薦書をユネスコに提出していました。

「イコモス」の勧告 委員会の判断に大きな影響

ユネスコの諮問機関、「イコモス」の勧告は世界文化遺産への登録の可否を決める世界遺産委員会の判断に大きな影響を与えます。

イコモスの審査は「普遍的な価値の証明が十分か」や「保全状況は十分か」などを基準に行われ、
▼最も高い評価の「記載」、
▼「情報照会」、
▼「記載延期」、
▼「不記載」の4段階で評価します。

このうち、「記載」の評価をうけたものは、日本のケースではこれまですべて世界遺産に登録されています。

それに次ぐ「情報照会」は追加で情報を提出させて翌年以降に再度審査を、さらに、「記載延期」は本質的な改定が必要だとして登録を見送るべきという内容の勧告です。

ただし過去にはこれらの勧告を受けたものがその年の世界遺産委員会で登録が認められたケースもあります。

最も低い評価の「不記載」は、世界遺産にふさわしくないという勧告で、これが世界遺産委員会で確定すると世界遺産への登録は難しくなります。

萩生田文部科学相「大変喜ばしい」

萩生田文部科学大臣は「わが国の貴重な文化遺産が国際的に高い評価を受けたことを大変喜ばしく思うとともに、地元関係者の努力に敬意を表します。夏の世界遺産委員会で勧告どおりに記載されるよう、関係自治体や関係省庁との連携のもと、全力を尽くします」とする談話を発表しました。