ライフスタイルを変える? 自動運転

ライフスタイルを変える? 自動運転
さまざまな研究が進む車の「自動運転」。どんな機能なのか、みなさん知っていますか?
自動運転は、レベル1からレベル5まであります。レベル1やレベル2は、自動ブレーキや高速道路で前方の車を追い越すなどの機能です。レベル3以上は、システムが操作を自動で行うようになります。2021年3月には、ホンダがレベル3の乗用車を世界で初めて販売しました。では、入試問題です。

問題に挑戦!

問題
近年、自動車産業は「自動運転技術」の開発に力を注いでいます。自動車の自動運転技術が発達することは、下の資料から読み取れる日本社会の課題に対して、どのように役立ちますか、あなたの考えを述べなさい。
(日本女子大学附属中学校 2018年)
資料にある折れ線は総人口の推移を表していて、減っていきます。
一方で、赤色で示した高齢者の割合は高くなっていくので、高齢化社会の課題に役立つということですかね?
解答例には、「総人口に対して高齢者の割合が高くなる。自動運転技術が進むことで高齢者の運転ミスによる事故を減らすことができる」というものがあります。
ほかにも、自動運転の普及が経済の発展や、便利なライフスタイルの実現につながるということもあるかもしれません。
自動運転にはどんな可能性があるのでしょうか?

運転レベル3とは?

自動運転に詳しい三菱総合研究所の杉浦孝明さんに聞きました。
レベル3の機能はどういったものなのでしょうか。
杉浦さん
「ドライバーが前を常に見なければいけないとか、ハンドル操作やアクセル操作を常にしなければいけないところから解放される。カメラがついていて、ドライバーの様子を見ていて、ハンドルがすぐに持てる状態になっているかどうかをチェックしている」
レベル3では、ハンドルやブレーキなどの操作を自動運転システムにすべて任せることができるようになります。
ただし、いつでも、どこでもできるわけではありません。レベル3の機能が使えるのは高速道路だけです。なおかつ、渋滞しているか渋滞に近い状態で、走行速度が50キロ以下の場合などに限られています。サービスエリアなどは除外されています。
またドライバーも運転席に座って、不測の事態が起きたときは、いつでも自ら操作できるように備えておくことも求められています。
いわば条件付きの自動運転です。

日本国内・世界で開発競争

この自動運転、IT企業なども参入し、世界で開発競争が激しくなっています。
国内ではトヨタ自動車や日産自動車も、技術開発に力を入れています。
杉浦さん
「日本では若者の車離れということが言われてもう久しいし、車がなくても生活できるような生活環境が定着してきたり、消費者の車に対する志向が弱まっているという部分で運転のときに負担になるものは軽減したい。いかに魅力的な車、使いやすい車を提供するかということに非常に力を入れています」
入試問題の解答例にあったように、事故を減らすことや経済の発展につながる可能性があると、杉浦さんは注目しています。
杉浦さん
「何よりも私たちが事故を起こすような心配をせずに安心して外出できる。高齢者の方も含めて外出機会は非常に増えます。運転の負荷が軽減できれば、より出かけやすくなって外出機会も増えて、観光を含めて地方への経済波及効果や地方の振興などに非常に大きい影響があると思っています」

進化する自動運転の未来

そして今、自動運転ではシステムが常にすべての操作を行う「レベル4」や「レベル5」の研究も進んでいます。
政府は2025年をめどに、場所などを限定してレベル4の実用化を目指しています。
杉浦さんは急速に進化する自動運転が未来の私たちのライフスタイルも変えていくのではないかと考えています。
杉浦さん
「移動の自由度が格段に上がると思います。動画やコンテンツを楽しんだり、会議や打ち合わせをするなど、車に乗車している最中もリビングで過ごす時間や職場で過ごす時間と同様に、非常に有意義な時間として活用できるようになってくる。どこへでも負担なく移動できる世界が来ると、住む場所の選択肢は非常に上がってくると思います。都市の過密による問題などは解消されてくると思いますし、全体として産業や教育も生産性が上がってくる。市民にとっても暮らしやすい暮らしになってきます」
自動運転によってさまざまな可能性が出てくることは期待できますね。
でもやはり車はあくまで道具、それも人の命に関わるもの。使う側も「お任せ」の意識ではなく、安全に利用するための知識を持たないといけないですね。
「自動運転」は、あればそれは欲しいけれどまだ高い、という印象があるかもしれません。実際、今回のホンダのレベル3の乗用車は高級車ということもあって、一台1000万円以上します。
しかし、杉浦さんは、自動運転の中でも、事故を防ぐ機能についてはどんどん普及していて、コスト面でも価格の安い小型車や軽自動車なども新車で搭載されるようになってきているといいます。こうした部分は今後もコストが下がり、ますます自動運転は身近になっていき、ドライバーの負担も軽減されていくと話していました。
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