「誰にも気づかれず死ぬかも」20代 “命の危険感じた”

「新型コロナとは無縁で、かかっても無症状だろう」
福岡市に住む26歳の男性は、そう思っていました。

しかし、5月に感染が確認され、急激な症状の悪化に、命の危険を感じるほどの経験をしました。

「感染してからでは遅い」
同じ若い世代の人たちへの男性からの警鐘です。

「寝れば治るかな」と思っていたが…

男性は、4年前に大学を卒業、福岡市で会社員をしています。

飲み会にも遊びにも行かず、職場と自宅を往復する日々で、ちゃんと手洗いやうがいもしていれば感染することはないだろうと思っていました。

そんな男性が、体の異変を感じたのは、5月1日のことでした。

症状は発熱から始まりました。

37度ほどの熱がありましたが、すぐに熱は下がりました。

「寝れば治るかな」
感染を疑わず、かぜだと思っていました。

しかしその翌日、コンビニの弁当を食べたところ、味を感じませんでした。

市販の風邪薬を飲んでも熱は下がりませんでした。

「こんなに熱続く?」「キツイ」「えぐい」

「まさか自分が…」
1人暮らしで、頼れる人も身近にいなかった男性は、感染を経験したことのある友人に連絡を取りました。
《友人とのメッセージのやりとり》
(男性)「37.5(℃)」「こんなに熱続く?」
(友人)「続きますよ」
(男性)「キツイ」
(友人)「会社やめときやー。」「熱アップダウン激しいやろ?」
(男性)「えぐい」

友人と症状が似ていたことから感染を確信しました。

それでも「40度を超えたら救急車を呼ぼう」と、そのまま自宅で様子を見ていました。

「誰にも気づかれず死ぬかも」

しかし発熱から3日目、症状が急激に悪化しました。

40度近い熱が出て、せきが止まらなくなり、立ち上がれなくなりました。

もうろうとする意識の中、119番通報をしました。

26歳男性
「体力には自信のある方でしたが本当にきつくて、命の危険を感じました。そのまま我慢して救急車を呼ばなかったら、誰にも気づかれないまま1人で死んでしまうのかなと思いました」

肺炎の症状が進行、酸素吸入の措置も

男性は搬送先の病院でPCR検査を受けた結果、陽性と確認され、肺炎の症状も進行していたため、すぐに入院しました。

入院しても熱は下がらず、せきも続き、酸素吸入の措置も行われました。

入院後2日間は、つらくて眠れませんでしたが、10日間で症状はほぼなくなり、検査で陰性が確認されたあと退院しました。

ただ、感染経路は、保健所の調査でわかっておらず、いまでも再び感染するのではないかと不安を感じています。

若い世代の人たちへ「命を守るため一緒に我慢して」

「新型コロナとは無縁で、感染しても無症状でたいしたことはないだろう」
男性はどこかそう思っていた部分もあったと振り返ります。

路上や公園で飲酒をする若者の姿を伝えるニュースを見ると、気持ちがわからないでもないという思いもありました。

しかし今、みずからの経験をもとに、同じ若い世代の人たちに、こう警鐘を鳴らします。

26歳男性
「僕も学生時代は楽しいことをして過ごしてきた。若者にとってはこの1、2年、仲間と集まりたくてもできなかったり、学校生活もオンラインとかだったりで、つまらないだろうなと。でも感染して命の危険を感じた今は、そんなことは言ってられないし、感染してからでは遅い。命を守るため、今はみんなで一緒に我慢してほしいです」


(取材:福岡放送局 記者 森並慶三郎)