EU ベラルーシに制裁で合意 旅客機着陸させ反政権派拘束で

旧ソビエトのベラルーシの当局が国際線の旅客機を着陸させ、搭乗していた反政権派のジャーナリストを拘束したことを受けて、EU=ヨーロッパ連合はベラルーシの航空機によるEU上空の飛行の禁止などの制裁を科すことで合意しました。

ベラルーシのルカシェンコ政権の当局は23日、領空を通過していた国際線の旅客機を首都ミンスクの空港に着陸させ、搭乗していた反政権派のジャーナリスト、ロマン・プロタセビッチ氏を拘束しました。

ベラルーシ側は着陸を命じた理由について爆発物が仕掛けられた恐れがあったとしていますが、爆発物は見つかっていません。

これを受けてEUは24日に開いた首脳会議で対応を協議しました。

その結果、加盟各国はベラルーシを非難しプロタセビッチ氏の即時解放を求めた上で、ベラルーシの航空会社の航空機によるEU上空の飛行やEU域内の空港への着陸を禁じるなどの制裁を科すことで合意しました。

さらに民間の航空機に関するルールを定める国連の専門機関に対し緊急の調査を求めているほか、EU域内に拠点を置く航空会社にベラルーシ上空の飛行を避けるよう呼びかけています。

一方、ベラルーシの航空当局はイスラム原理主義組織ハマスから旅客機に爆弾を仕掛けたというメールを受け取ったとして安全確保のため必要な措置だったと主張し、改めて対応を正当化しています。

イギリス ベラルーシ領空飛行 停止を通知

イギリス政府は24日、国内の航空会社に対しベラルーシ領空の飛行を取りやめるよう通知しました。

さらにベラルーシの航空会社「ベラビア」に対するイギリスとを結ぶ便の運航許可を即時停止したということです。

議会で発言したラーブ外相は「民間航空の安全な航行を脅かす不法行為だ。ルカシェンコ政権はこの危険な行動の責任を負わなければならない」と強く非難しています。

リトアニア 事件として捜査開始

今回の事態を受けて旅客機の到着地のリトアニアの捜査当局は声明を発表し、ギリシャ、アテネの出発時の搭乗客は126人だったのに到着時には121人に減っていたとした上で、刑事事件として捜査を始めたことを明らかにしました。

ロシアの国営通信社はリトアニアの当局がハイジャックや誘拐の疑いで捜査していて、すでに操縦士から話を聞き乗客からも聴取する方針だと伝えています。

リトアニアとしてはベラルーシの当局が乗客の反政権派のジャーナリストを拘束したことからその状況や事実関係を調べるとみられます。

プロタセビッチ氏「ミンスクの拘置所にいる」

ロイター通信などは24日、インターネット上で拡散した反政権派のジャーナリスト、プロタセビッチ氏の動画を伝えました。
動画がいつどこで撮影されたかはわかっていませんが、プロタセビッチ氏は「ベラルーシの首都ミンスクの拘置所にいる」と話していて、ベラルーシ当局によって撮影されたとみられます。

プロタセビッチ氏は30秒の動画のなかで「心臓やその他の臓器に健康上の問題はない」としたうえで「私は捜査に協力し、ミンスクで大規模な暴動を組織した事実を認めると証言している」と話しています。

この動画について反政権派の幹部は「明らかに強要されたものだ」として、ベラルーシの当局に強要された発言だという見方を示しました。

ベラルーシの治安当局は去年8月、反政権派のリーダーのチハノフスカヤ氏を一時拘束して動画を撮影し抗議活動をやめるよう呼びかけさせたことがあり、反政権派は今回も同じ手法の可能性が高いとみています。

国際民間航空機関 緊急会議開催を提案

民間の航空機に関するルールを定める国連の専門機関ICAO=国際民間航空機関は、日本を含む36の国からなる理事会の議長が緊急会議の開催を提案したことを明らかにしました。

一方、国連の報道官は24日の定例記者会見で「グテーレス事務総長は今回の憂慮すべき事態について透明性と独立性を確保した調査を求めることを支持する。すべての関係者はこの調査に協力するよう求める」と述べて、ベラルーシ当局に対して調査に全面的に協力するよう呼びかけました。

さらに報道官は「事務総長は去年8月に実施された大統領選挙以降の人権状況の悪化について深刻な懸念を表明している」と指摘したうえで「表現や結社の自由を含むすべての国際法を完全に遵守するようベラルーシ政府に呼びかける」として、ベラルーシの人権状況に懸念を示しました。