日銀 黒田総裁 デジタル化は経済に恩恵も不平等拡大に注意必要

日銀の黒田総裁は、講演で、コロナ禍で進んだデジタル化は生産性を押し上げて経済に恩恵をもたらす一方、成長の果実が一部に集中して不平等が拡大することには注意が必要だと指摘しました。

黒田総裁は、24日夜、海外の中央銀行や国際機関から参加者を招いた日銀のオンライン会議に出席し、英語で講演しました。

この中で黒田総裁は、コロナ禍で「技術や産業といった経済構造の変化が起こりつつある」としたうえで、「デジタル化の急速な拡大が生産性の向上につながり恩恵をもたらすと期待される」と述べました。

その一方で、「仮に成長の果実が一部に集中し、不平等が拡大すると包括的な経済成長を実現することが難しくなる可能性があることには注意が必要だ」と指摘しました。

また、黒田総裁は、今後の政策課題について資金繰りの支援といった応急的な措置から、債務の返済能力や企業の存続可能性などより構造的な対応に政策の重心が移るという見方を示しました。

そのうえで、「今回の危機でより明白となった経済的な不平等や、このところ世界的に議論の高まりがみられている気候変動への対応も課題に加わることになる」と述べ、格差の是正や気候変動への対応も中央銀行が考慮すべき問題だと指摘しました。