コロナ禍で社員のコミュニケーション課題 オフィス改革の動き

新型コロナウイルスの影響でテレワークや在宅勤務が広がる中、オフィスを改革することで、社員どうしのコミュニケーション不足を乗り越えようという動きが出てきています。

KDDIなどが開発したオンラインの会議システムは、離れた場所にあるオフィスに分散している社員どうしが同じオフィスにいるかのように意見が交わせるようになることを目指しています。

会議の様子を縦2メートル40センチ、横4メートルの壁に4Kの高精細の映像で投影し、参加者の表情がきめ細かにわかるようにします。

さらに、参加者の表情がポジティブかどうかなどをAIで判断するほか、誰が誰に対してどのくらい発言したかも分析して表示します。

KDDIの中馬和彦担当部長は「働く場が分散すると通勤の課題は解消されるが、コミュニケーションは課題を抱え続ける。離れていてもあたかも一緒に働けるようにすることで、チームワークが成立する」と話しています。
一方、AI=人工知能を活用して、オフィスの感染防止対策を徹底しながら、社員どうしのコミュニケーションを活発にしようという企業もあります。

格安スマホ事業を手がけるフリービットは、緊急事態宣言を受けて出勤する社員の比率をいまは3割程度に抑えています。
会社が決めた出勤率に応じて、密にならないようにオフィスの席数やレイアウトを変更し、社員を対象に実施しているアンケートのデータから、AIが社員どうしの対話が生まれやすい配席を決めます。

また、スマートフォンのアプリとセンサーで社員たちの距離などを測っていて、今後、密になった場合に管理部署にすぐに通知する仕組みを導入することも検討しています。

フリービットの石田宏樹社長は「去年のパンデミックを受け、リモートワークを進めてきたが、新しいものが生まれなくなってきた。安全性から、人が集まる場所を再設計しなければならないと考えた」と話しています。

コミュニケーション不足が課題

政府は新型コロナウイルスの職場での感染の増加に対応して、緊急事態宣言が出されている地域では、出勤者の7割削減を目指しています。

一方で、在宅勤務やテレワークをする人の間では、社員どうしのコミュニケーション不足が課題だという声が多くなっています。

パソナ総合研究所が、在宅勤務を経験した1000人余りを対象に去年10月に行ったアンケート調査によりますと、「在宅勤務を円滑に行うための業務上の課題は何か」という問いに対して、48%の人が「チームのコミュニケーション機会の確保」を挙げ、最も多くなっています。

また、在宅勤務で実際にチームとしてのパフォーマンスが低下したと回答した人に、その理由を聞いたところ66%が「チーム内のコミュニケーション低下」を挙げ、もっとも多くなりました。